親の認知症。親が認知症になると遺言や生前贈与などができません。どんな問題がでてくるでしょうか?~ 贈与や相続・譲渡など資産税[122]
資産税に関する記事です。
今回は
親の認知症と相続税での問題
を紹介します。
高齢者65歳以上。2025年には5人のうち1人が認知症になります
認知症とは病名ではありません。病気や障がいによって、認知機能が低下して、生活に支障がでている状態をいいます。こうした状態の総称を認知症というそうです。
診断書に記載されるのは、原因となる病気です。たとえば、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症などの原因疾患です。
認知症が相続に及ぼす問題とは
認知症と診断されると「意思能力のない者」として扱われます。
法律行為が無効とされます。
つまり、相続対策として次のようなことが不可能となります。
・預金口座の解約、引出し
・不動産の売買、賃貸契約
・遺言書の作成
・生前贈与
・生命保険の加入
・遺産分割協議
その対応として法定後見制度があります
家庭裁判所が選任する成年後見人が、本人に代わって法律行為を行うものです。
法定後見制度を使っても相続対策はできません。
そもそもこの制度は相続対策と利害が反するという問題があります
成年後見人は、本人(認知症の親)の財産を本人のために管理・保全するという義務があります。家庭裁判所の監督のもとに財産の管理をすることが仕事です。
そのため、本人の財産を家族である他の相続人のために使うことは、原則として認められません。成年後見制度は本人の財産を保護するためのものです。
一方、相続税対策は、本人のための節税でなく、相続人のための節税になります。相続対策は、本人の財産を減らすものです。
本人の財産を減らすようなことは、それが本人のためであったとしても法定後見制度ではできないことになります。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
梅雨に負けぬように。1日を元気にお過ごしください!
[編集後記]
土曜日の「創業者のクラウド会計」はお休みしました。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「創業者のクラウド会計」または「電子帳簿保存法の改正」
・火曜日と水曜日は「消費税」
・木曜日と金曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」
・土曜日は「創業者のクラウド会計」または「電子帳簿保存法の改正」
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