そもそも、なぜ相続税という税金が課税されるのでしょうか? ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[119]
資産税に関する記事です。
今回は
相続税はなぜ課税されるのでしょうか?相続税とは「特別な所得税」です
を紹介します。
相続税の申告の有無や財産評価については、専門家として詳しいですが。
そもそも「なぜ相続税という税金があるのか?」と考えることはありません。
そもそも相続税の趣旨とは
相続税法を受験するため通学していた際のテキストには、次のような記載があります。
相続税はなぜ課税されるのでしょうか?
① 富の再分配です
すべての個人は経済的に機会均等であるべきという、社会経済政策的な見地からの富の過度の集中を抑制し、巨額の財産を相続した者と、そのような機会に恵まれない者との経済的な不均衡の是正をはかるために、相続等により財産を取得した者についてはその取得した財産に対応する相続税を課すことによって富の再分配をはかろうとする見地から課税をします。
② 所得税の補完税です
個人が生まれてから死に到るまでの間において、自己の経済活動や他人からの寄贈などによって取得した財(所得)については,それぞれの取得に応じて種々の課税を受けることになります。この場合、被相続人が生存中に受けた税制上の特典その他租税の回避などによりすべての所得に対して課税されるわけではありません。したがって、相続税は人の一生において蓄積した財産を相続開始時点で把握して、課税の清算を行うために所得税の補完説的見地から課税をします。
(出所「TAC 相続税法 基本テキストNO1 52頁」)
一方、相続税のない国があります
主要な先進諸国では、相続財産に対する課税制度はカナダを除き存在します。
相続税制度のない国も多いです。
たとえば、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデンなどなど。相続税制がある国は44か国、ない国は83か国だそうです。
(出所「相続税の機能と今後の税制のあり方について」日本税理士会連合会 18/12/20)
「①の富の再分配」は社会経済的な視点からの政治的な立場だと理解できますが。
一方「②の所得税の補完税」という理論的な理由は次のとおりです
相続税は本質的には特別所得税である。
「所得を『新たに流入してきた、人の担税力を増加させる経済的価値』と定義するならば、相続によって取得した財産は、まぎれもなく一種の所得である。(省略)
では、なぜ、相続によって取得した財産を所得税の対象としないのかといえば、それは、次の二つの理由による。
① 所得税の対象とすると、それに一時所得に該当するから、2分の1課税が適用され、大規模な相続財産に対する税負担が著しく軽減されて(最高税率は所得税の最高税率のちょうど2分の1となる)、巨大な富の集中を排除するという、相続税の本来の目的が達成されなくなることである。
② 小規模の相続財産に対して不当に重い税負担が課され、場合によってはきわめて酷な結果になることである。
このように、相続財産に対して所得税とは別に課税することとしているのは、大規模な相続財産には重く課税し、小規模な相続財産には軽く課税するためである。」
(月刊「税理」相続税制改革の視点 1987年12月号)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
春の1日を元気にお過ごしください!
[編集後記]
月曜日の「創業者のクラウド会計」はお休みしました。
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