会社に事業用建物を貸した社長の税金~極端に高い家賃でなければ問題はありません。
3月から毎週水曜日は、27回にわたって「法人成り」等をご紹介してきました。10/4を最後に、「法人成り」の要点をまとめました。いったんこのシリーズを終了します。
今回から水曜のブログでは
「同族会社とその役員との取引」の中で、税務上のよく問題となるケースを取りあげて紹介していきます。
同族会社とその社長との間では、取引が行われるケースがよくあります。このような場合には、通常の市場での取引では考えられないような内容で、同族会社とその社長との間で行われる取引があります。
問題を発生させないために、また大きな問題とならないように、税務上の予防として対策を考えていきたいと思います。
「社長から会社が事業用建物を借りる場合に、事務所の家賃と税金はどうなる?」前回の続きです。
今回は、家賃を受けとる社長側の税金を考えていきます。
社長が家賃を受け取った場合には、その家賃は社長の所得税の計算上、不動産所得の収入金額になります。
この結果、収入金額から固定資産税などの必要経費を差し引いた不動産所得が、給与所得と合算されて総合課税により所得税を計算して確定申告することになります。
この場合、家賃の金額が第3者との間での家賃と比べて、極端に高かったり、極端に低かったりする場合、社長の税務上の問題を考えます。
① 通常の家賃と比べて極端に低い場合
税務上は特に問題になりません。所得税法上、個人は実際に受け取ったものを収入として認識します。低い家賃を受け取った場合には、その低い家賃を不動産所得の収入金額として計算します。
② 通常の家賃と比べて極端に高い場合
この場合には問題が生じます。通常の家賃を超える部分については、不動産所得になりません。あくまで会社からの報酬として、給与所得の収入金額になります。※1
会社が社長から事業用建物を借りる場合、会社法上、会社は適切に対応する必要があります。
会社と社長の自己取引※2に該当しますので、次の手続きを忘れないようにしてください。
① 建物賃貸借契約書を締結する必要があります。
契約書には ⅰ賃貸借の目的物、ⅱ借手の使用目的、ⅲ賃料、ⅳ賃借期間を定めておく必要があります。
② 事前に取締役会または株主総会の承認を受けておく必要があります
※1 法人税法基本通達9-2-9 役員給与における経済的な利益
役員給与及び過大な使用人給与の損金不算入に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、次に掲げるもののように、法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすものをいう。
※2 自己取引
会社の取締役が自ら当事者として、会社との間でする取引です。
会社と役員の取引には、思わぬところで税務上のリスクが発生することがあります。
税金の常識は、皆様が思っておられる日常の常識と相違する場合があります。専門家に相談されることをおすすめします。
このような会社と役員の税金に関してご心配な方は、電話やメールでお気軽にご相談ください(初回は無料です)。
月・水・金は次のとおり税務の記事を紹介しています。
月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「同族会社とその役員との取引」
・「会社が、社長から事業用建物を借りる場合に、家賃と税金はどうなりますか?」はこちら(10/11)
・「法人成りのメリットとデメリット!税金面だけ考えると法人成りをした方が有利です」はこちら(10/4)
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」
日曜日は「2018年3月申告用の所得税確定申告の手引き」
火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
最近の火・木曜日の介護事業の基礎知識バージョンアップ編」の記事は次のとおりです。
・「ヘルスケアサービス事業(介護保険外事業)成功に向けて、課題解決の考え方」はこちら(10/17)
・「ヘルスケアサービス事業の創出が難しい理由(志水武史氏)」はこちら(10/12)
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