医療費控除は家族全体で考えます!「生計を一にする」はこう考えましょう。
そろそろ準備を初めてくださいね。日曜日は、2018年の確定申告に向けて、誤りやすい事例を含めて、確定申告に関する所得税や贈与税について紹介していきます。
今回は「医療費控除は家族全体で考えましょう!」です。
昨年、確定申告期に相談をお受けした中で、やはり、医療費控除に関することが多かったです。その中では、「医療や健康のために支払ったものが、医療費控除の対象となるかならないか?」というご質問が多かったように記憶しています。2番目は、住宅ローン控除の適用の是非や申告書の書き方についてのご質問でした。
今回は、支払ったものが医療費控除の対象になるかならないか?と言う前に、
「家族にかかった医療費は、誰の医療費控除の対象になるのか?」を考えます。
例えば、次のようなケースはどうでしょうか?
「共働きの夫婦がいます。夫が、妻の母親(夫婦と同居中)の入院費を支払いました。母親は妻の扶養親族になっています。この場合、夫婦のどちらが還付申告をすれば良いのでしょうか?」
同居の妻のお母さんの入院費を支払ったのは、夫です。夫が医療費控除の還付申告をすることになります。
医療費控除の要件は、入院費などの医療費を支払った人が
① その医療費の対象となった人と「生計を一」にしていますか?
② その医療費の対象となった人の親族ですか?
の2点です。
このケースでは
第一は、妻の母親は、妻の扶養親族になっていますので、夫と妻の母親は「生計を一にしている」と判断されます。妻と夫は生計が別ではありません。そうなると夫と妻の母親は「生計を一にしている」と判断します。
第二は、いうまでもなく夫と妻の母親は親族関係にあります。
したがって、妻の母親の医療費を支払った夫が医療費控除の還付申告をすることになります。
ようするに、「所得を有する親族の医療費を、生計を一にする他の親族が支払ったときは、その医療費を支払った者の医療費控除の対象となります」
なぜならば、医療費控除について所得税法で規定されている「生計を一にしている」には、次の要件は含まれていません。
① 「扶養されている」、「扶養されていない」の有無
② 「所得がある」、「所得がない」の有無
③ 所得の金額の大小
従って、例えば次のような場合は、自分の医療費と一緒に、その負担した分を医療費控除として申告することができます。
① 同居している社会人の子どもの医療費を、親が負担した場合
② 同居している親の医療費を、子どもが負担した場合
③ 共働きの夫婦で、扶養から外れている妻の医療費を、夫が負担した場合
<参考>所得税基本通達2-47 「生計を一にする」の意義
法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。
対象となる医療費の可否、対象者や申告者の判断など、医療費控除の確定申告は簡単なものから難しいものまで、専門家でも頭を悩ますことがあります。
医療費控除などの確定申告にあたっては、事前に信頼できる専門家に相談されることをおすすめします。
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日曜日は「2018年3月申告用の所得税確定申告の手引き」
・「還付申告するとき、他の所得を含めていますか?」はこちら(10/8)
・「会社員の還付申告はいつまで!」はこちら(10/1)
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