「配偶者やこどもがいない方の相続?」おひとりさまの相続税を考えます。
金曜日は、贈与税や相続税について紹介しています。最近は相続に関して問題になりやすい事例を紹介しています。
今回は、配偶者やこどもがおられない方の「おひとりさまの相続」を考えます。ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。
次のような事例で検討します。
「花子さんは独身です。結婚せずに、キャリアウーマンとして雑誌社で働いてきました。金融資産を中心に、遺産としては相続税が課税される金額に相当する財産があります。昔、ある事件をきっかけに、兄である太郎さんとは長年にわたって疎遠です。
しかし、その太郎さんの娘である姪のA子さんとは仲良くしていました。現在は、A子さんは花子さんに対して世話や介護等をしてくれています。」
万が一、花子さんに相続が始まると、兄の太郎さんのみが法定相続人になります。
兄(太郎さん)… 全部(1/1)
姪(A子さん)… ゼロ
花子さんは、何もしなければ、疎遠となっている兄の太郎さんに遺産の全部を相続させることになってしまいます。
花子さんは、自分の意思を尊重したい場合には、遺言書を残すのはいかがでしょうか。
① 姪のA子さんに財産を残すのであれば、遺言書で指定する。兄の太郎さんに遺留分はありません。
② また、花子さんが遺産を公益団体などの活動にあててもらいたい場合には、遺言書で指定する必要があります。
③ 万が一、法定相続人が誰もいない状態の場合には、遺産は全て国庫に入ります。
相続人がいないおひとりさまの場合に、相続人以外に財産を残したいときは?
例えば
・介護施設や医療施設等でお世話になった方
・宗教法人、公益法人、NPO法人など
・内縁の妻(相続人ではありません)
方などに、遺言書を残すという方法が、間違いのない方法だと思います。
ただし、遺贈により財産を受け取った者では、それぞれ固有の課税関係が生じます。
例えば、株式会社に遺贈した場合には、株式会社が遺贈により取得した財産は各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されます。
一方、同窓会などの法人格を有しない団体に対し遺贈があった場合には、その同窓会を個人とみなして相続税が課税されます。
また、「一定の公益法人に財産を遺贈」した場合には、次のような相続税が非課税となる規定もあります。
相続税法第12条 相続税の非課税財産
「次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
三 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続又は遺贈により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」
ご紹介したとおり法律の中で、ご自身の意思を選択できます。まずは遺産をどうしたいのかなどの方向性を、ご自身で検討されてはいかがでしょうか。
遺言書や遺贈、非課税など相続や相続税に関することは、誰にも難しいものだと思います。ましてや、一生に一度のこと。誰もが詳しいはずはありません。
しかし、思わぬ問題が発生するとも限りません。事前に信頼できる専門家に相談されることをおすすめします。
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