過少申告加算税の軽減措置を受けることができる優良帳簿とはどんなものですか? ~ 電子帳簿保存法改正[17]
今回は
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置が創設されています。優良な帳簿とはどのような機能を持つ帳簿ですか?
を紹介します。
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置のルールは次のとおりです
① 一定の国税関係帳簿について優良な電子帳簿の要件を満たして電子による備付けおよび保存を行っていること。
②この措置の適用を受ける旨を記載した届出書を、あらかじめ税務署長に提出していること。
上のルールを満たせば、申告漏れがあった場合には、その申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減されます。
では
「①の優良な電子帳簿の要件を満たして電子による備付けおよび保存を行っていること」とは具体的にはどういうことでしょうか
次のような保存要件になります。改正後の「優良」の欄がその要件です。
(出所:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」)
<参考> 電子帳簿保存法 一問一問 帳簿書類関係
Q36
法第8条第4項(過少申告加算税の軽減措置)の規定の適用を受けようとする場合には、どの帳簿について要件を満たして保存する必要がありますか。
A38
法第8条第4項(過少申告加算税の軽減措置)の規定の対象となる特例国税関係帳簿とは、所得税法施行規則第58条第1項(取引に関する帳簿及び記載事項)、法人税法施行規則第 54条(取引に関する帳簿及び記載事項)または消費税法第30条第7項(仕入れに係る消費税額の控除)、第38 条第2項(売上に係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除)、第38 条の2第2項(特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除)および第58条(帳簿の備付け等)に規定する帳簿を指し、適用を受けようとする税目に係る全ての帳簿を規則第5条第5項の要件に従って保存し、かつ、あらかじめ本措置の規定の適用を受ける旨等を記載した届出書を提出する必要があります。
なお、総勘定元帳や仕訳帳以外の帳簿は納税者が行う事業の業種や規模によって異なり、保存義務者によって作成している帳簿は区々ですが、例えば、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳、経費帳等の帳簿を作成している場合には、各帳簿について規則第5条第5項の要件に従って保存する必要があります。
一方、優良な「帳簿」の範囲とは
仕訳帳、総勘定元帳が優良な帳簿であることはもちろんですが、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳、経費帳などの補助簿まで優良な帳簿として保存する必要があります。
つまり、補助簿まで優良な帳簿として次のような機能を持つ必要があります
1 帳簿に係る電磁的記録に係る記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること
2 帳簿に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後に行った場合には、その事実を確認することができること
3 帳簿に係る電磁的記録の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できるようにしておくこと
たとえば、会計freeeでは優良電子帳簿機能の実装のスケジュールは次のようになっています
実は、会計freeeでの対応はどうなるのか?と思っていたところです。
(出所:freee電子帳簿保存法対応機能のお知らせ 22/03/25)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」
(ピーター F.ドラッカー)
春の1日、朗らかにお過ごしください!
[編集後記]
水曜日の「個人の税金」はお休みしました。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「創業者のクラウド会計」
・火曜日は「消費税」
・水曜日は「個人の税金」
・木曜日と金曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」
・土曜日は「創業者のクラウド会計」
・日曜日は「経理・会計」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。