「地域に根差した公的介護保険外サービスのポイント」【卯津羅泰生(うずらやすお)氏】
超高齢社会健康・医療・くらし研究所所長、よどきり医療と介護のまちづくり株式会社部長である卯津羅泰生氏のお話をお伝えします。
大阪健康寿命延伸産業創出プラットホーム(略称「OKJP」)の「新規ビジネスプラン創出研究会(介護保険外サービス分野)」の2回目に参加しました。
そこで同氏が示された点で、私が重要だと考えたことを以下に述べます。
・介護市場は今後どうなっていきますか?
① 在宅〝もどき〟市場が拡大します。
利用者の自宅(家庭)に訪問して身体介護などを行う従来の訪問介護サービスより、いわゆる有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護といわれる「施設の居室」を高齢者の自宅とみなす施設市場が拡大します。
② 超人材不足になります。
介護人材市場は人材不足です。加えてヒューマンリソースの質が良くない。量も質も両面で、どちらも不足は深刻です。
③ 築20年以上のサ高住、老人ホームの問題があります。
古くから運営されている有料老人ホーム等において、入居者の高齢化に伴い、利用者の医療度が高くなっています。認知症を発症している方が多くなっています。
④ 介護保険対象者(対象範囲)が縮小しています。
地域包括センターを中心に新総合事業で始まっています。しかし、従来の要支援1・2の方へのサービスを断れない状態になっています。
⑤ 医療連携の必要性が拡大しています。
急性期病院では原則として入院は1週間になっています。病院は患者等を病院外に出そうとしています。そういう方向性を踏まえますと、医療度合いが高い「医療強化型サ高住?」というサービスが出てくる可能性があります。
医療連携の必要性の拡大を考えると、介護から医療まで一気通貫でモデルを構築できる病院が非常に有利になります。
・公的介護保険外サービス市場をどう考えますか?
① 介護保険外サービスの考え方について
今後、要介護2以下の方は介護保険の対象外とする方向で、介護施策は進みます。
② 上乗せと横出しについては
2018年度に新たな施設サービスである「介護医療院」が創設されます。特徴としては以下の3点です。
・「生活の場としての機能」を兼ね備えています。
・日常的に長期療養のための医療ケアが必要な重介護者を受け入れます。
・ターミナルケアや看取りも対応します。
ということは、「介護医療院」は、病院が行う上乗せサービスを含む施設サービスになります。
介護から医療まで一気通貫で施設サービスを提供できる病院が有利になります。
横出しについては、成年後見サービスの中で医療に関するサービスが発生する機会が増えています。その分野で需要が高まっています。
卯津羅氏が示される内容は、多くのヒントが得られる示唆に富むものでした。ヒントは未来投資会議のSociety5.0にまで及びました。この続きは12日(火)にご報告します。
火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
最近の【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】の記事は次のとおりです。
「健康・医療・介護のビッグデータを分析可能とする保健医療データプラットフォームは2020年本格稼働」はこちら(9/5)
「現金回収と支払の「時間差」で起きる「黒字倒産」。介護事業では資金繰りが大切です。」はこちら(9/2)
「大阪府の住宅型有料老人ホームやサ高住における『サービス利用の見える化』」はこちら(8/31)
「『大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性』では、データベースが整備されていない問題やケアマネジャーの資質向上が必要という指摘」はこちら(8/29)
「軽度者に対する生活援助サービスの給付のあり方」はこちら(8/27)
介護事業は社会課題解決事業です。
保険料と税で運営されている社会保険制度としての制度ビジネスです。3年ごとに改定される制度変更には、しっかりと対応することをおすすめします。
課題をお持ちの開業を準備されている方や準備を検討されている方は、是非、ご相談ください。一緒にベストな解決策を検討しましょう。
制度変更により、大きく収入が落ち込んで事業縮小や廃業を余儀なくされるケースを避けるために、制度改定を予測して、事業経営に活用することが大切だと思います。
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水曜日は「会社で事業をした場合(法人成り)のメリット」
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