軽度者に対する⽣活援助サービスの給付のあり方~「2018年度介護報酬改定の方向性について」社会保障審議会介護保険部会委員:馬袋秀男 氏
「次期報酬改定議論で注目が集まるロボット・ICT導入による介護スタッフの負担軽減策」という日経ヘルスケアが主催しているセミナーに参加しました。その中で、基調講演「2018年度護報酬改定の方向性について~介護保険制度改正と介護報酬改定の議論から考える~」として同氏から示された点で、私が重要だと考えたことを以下に記します。
まずは、以前にブログでご紹介した財政制度審議会「経済・財政計画」の着実な実施に向けた建議の資料の中からの解説がありました。
改定の枝葉を考えるよりも、改定の方向性は、こうした重要な審議会で検討した視点を踏まえて、予測することが大切だと気づきます。
上図の赤字の部分が重要です。赤字部分が今後検討する事項となっています。(青字・緑字は実施中または結論を得た事項です)
それらの赤字部分の項目を抜き出すと、次のような事項となっています。
視点① 高齢化の進展を踏まえた医療・介護提供体制の確保(括弧書きは検討期眼)
・医療費適正化に向けた診療報酬の特例の活⽤(~29年度末)
・病床再編等に向けた都道府県の体制・権限の整備(~32年央)
・かかりつけ医の普及の観点からの外来時の定額負担(~29年末/~30年度末)
視点② 大きなリスクは共助、⼩さなリスクは自助
・市販品類似薬に係る保険給付の⾒直し(~30年度末)
・軽度者に対する⽣活援助サービスその他の給付のあり方(30年度改定/~31年度末)
視点③ 年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担
・金融資産等を考慮に⼊れた負担を求める仕組みの医療保険への適用(~30年度末)
・後期高齢者の窓負担のあり方(~30年度末)
視点④ 公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護
・診療報酬・介護報酬の適正化
・先発品価格のうち後発品に係る保険給付を超える部分の負担(~29年央)
・生活習慣病治療薬等の処方のあり方(~29年度末)
介護制度に関して、特に注意したいのはアンダーラインを引いた項目です。「軽度者に対する⽣活援助サービスその他の給付のあり⽅」が具体的な検討項目にあがっています。
そして、介護給付費分科会ではこれが論点となって議論されています。
(下図は平成29年4月26日同分科会の資料から)
馬袋秀男氏は「生活援助中心」のサービスで新しい単価ができると紹介されています。
「生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準および報酬について、要介護者に対する生活援助の意義を踏まえ、どう考えるか?」が論点になっています。
もうひとつの介護関係の検討項目である「診療報酬・介護報酬の適正化」が赤字になっています。今後も検討すべき項目で上がっています。
他の項目には検討期限が記載されていますが、これには検討期限が記載されていません。
報酬は定常的に見直す項目ということです。
「適正化」という言葉が意味するのは、「報酬が上がることではない。」と同氏がコメントされていました。
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