井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2021.09.10.Fri | 税金(個人)

個人事業主が交通事故を起こし、損害賠償金を支払いました。必要経費になりますか? ~ 確定申告で間違いやすい項目


個人事業主の方から確定申告に関して、支払った損害賠償金について質問を受けました。




今回は




その事故は業務関連したものか?事故原因に故意または重大な過失があったかどうか?で判定します





紹介します。


損害賠償金とは


違法な行為をして、他者に損害を与えた者が、その損害の埋め合わせをすることをいいます。


この場合、損賠賠償金には次のものが含まれます


慰謝料、示談金、見舞金などの名目を問わず、他人に与えた損害を補てんするために支払う一切の金額が含まれます。


必要経費になるかどうかの判定は


損害賠償金が事業所得の必要経費となるかどうかは、次の①と②により判定します。


① 事故の業務関連性の有無

② 事故原因に故意または重大な過失があったかどうか?


①により、事故が業務に関連のないものは必要経費になりません。


②により、業務に関連していても、事故原因に故意または重大な過失があった場合は必要経費になりません。


このうち「重大な過失」とは次によります


重大な過失があったかどうかについては、加害者の職業、地位、事故当時の周囲の状況、侵害した権利の内容取締法規の有無などの具体的事情を考慮して、加害者が本来払うべきであった注意を払ったかどうかにより判定します。


交通事故の場合で「重大な過失」とは


無免許運転、高速度運転、酒気帯び運転、信号無視などによる事故は、特別の事情がない限り重大な過失があったとされます。




こうした取り扱いを踏まえると

個人事業主が加害者として支払った損害賠償金が事業所得の必要経費となるのは




商品の配送や売掛金などの集金の途中など業務に関連した事故で、しかも故意または重大な過失がない場合に限られます。




<参考>

使用人が交通事故を起こして損害賠償金を事業主が負担したときの取扱い


① 使用人の行為に関し、事業主に故意または重大な過失がある場合

使用人に故意または重大な過失がないときであっても事業主の必要経費になりません。


② 使用人の行為に関し、事業主に故意または重大な過失がない場合

使用人に故意または重大な過失があったかどうかを問わず

ⅰ 業務に関連するものは事業主の必要経費になります

ⅱ 業務に関連しないもので家族従業員以外の使用人で雇用主の立場上やむを得ず負担したものは事業上の必要経費になり、その他のものは必要経費になりません。





「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」

(ピーター F.ドラッカー)

秋の1日を朗らかにお過ごしくださいね!






【編集後記】

トップの画像は西宮市の白鶴酒造資料館にある「お酒ラベル」です

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