紙のレシートは捨ててはいけません「消費税法の仕入税額控除における領収書の保存要件」と「電子帳簿保存法の電子取引の保存要件」は別です ~ 消費税[119]
消費税の記事を掲載します。
今回は
クラウド会計ソフトを使っていても、3万円以上のもので紙のレシートが発行されている取引については、レシートは残しておく必要があります
を紹介します。
2020年に電子帳簿保存法の改正がありましたが(紙が対象ではありません)
改正の対象は、帳簿や紙で受け取った領収者や請求書などの書類が対象ではありません。
「電子取引」という「最初から最後まで紙が発生せずに電子データで完結する取引」の保存方法が変更になっています。
つまり、次のようなデータが改変できないクラウドサービスを使用していた場合に、タイムスタンプが不要になったり、事務処理規定の作成や厳密な運用がないようにする改正です。
(出所:freeeのHP 20/11/05)
しかし、消費税の仕入税額控除の要件は、電子帳簿保存法とは別に考える必要があります
つまり、消費税法の仕入税額控除における領収書の保存要件とは、次のように税込3万円未満か以上かの区分で、領収書の保存義務が発生します。
1課税仕入れ(税込み3万円)未満の経費の領収書
必要な事項(相手方の名称、年月日、内容、金額)を帳簿に記入すれば、領収書の保存は不要です。帳簿の保存は必要です。
2 課税仕入れ(税込み3万円)以上の経費の領収書
紙の領収書が発行されないなどやむ得ない理由がある場合のみ、帳簿保存だけで消費税の仕入税額控除が認められます。
たとえば、クレジットカードを使って支払いを行った場合は、紙の領収書を得られないやむ得ない場合に該当しません。
3万円以上の紙のレシートを電子データで保存するためには、別途、スキャナ保存の承認申請が必要になっています。
したがって、スキャナ保存を申請しないのであれば、レシートは紙で残して保存しておくく必要があります。
ただし、2022年1月1日から電子帳簿保存法が改正されます
税務署長の事前承認制度が廃止されるなどスキャナ保存要件が緩和されます。一定の要件をみたせば、スキャナ保存した領収書データと仕訳を紐付けることで、消費税の仕入税額控除の要件をクリアできるものと考えています。
<参考>
電子帳簿保存法一問一答 国税庁令和3年7月
電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係
問3
市販の会計ソフトを使って経理処理や申告書の作成などを行っている場合には、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等は認められますか。
【回答】
市販の会計ソフトを使用し、ディスプレイやシステムの概要書等を備え付けること等の法令で定められた要件を満たしている場合には、紙による保存等に代えて、電磁的記録等による保存等を行うことが認められます。
国税関係帳簿書類は申告納税制度の基礎となる重要なものであるため、その電磁的記録等による保存等は、適正公平な課税が損なわれることがないように法令で定められた要件を満たした場合に限り認められてきましたが、令和3年度の税制改正によりその要件が大幅に緩和されました。
そのため、市販の会計ソフトを使用して、見読可能装置(ディスプレイ等)やシステムの開発関係書類(システムの概要書等)の備付け等の法令で定められた要件を満たしている場合には、紙による保存等に代えて、電磁的記録等による保存等を行うことが認められます。
この法令で定められた要件を満たせない場合には、会計ソフトを使用して作成した帳簿書類について電磁的記録等による保存等は認められないことから、紙出力して保存等を行うことになります。
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