3万円未満の公共交通機関による旅客運送など適格請求書の交付義務が免除される取引があります インボイス制度 ~ 消費税[112]
消費税の記事を掲載します。
今回は
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送など適格請求書の交付義務が免除される取引があります
を紹介します。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)は
令和5年10月1日に始まります。
インボイス制度では次の6点が変わります(ざっくりと)
① 請求書に記載する事項が変わります。
② 適格請求書は登録を受けた事業者のみが交付できます。
③ 登録を受けた事業者には適格請求書を交付する義務が生じます。
④ 仕入税額控除の適用を受けるためには適格請求書等の保存が必要となります。
⑤ 税額計算の方法が変わります。
⑥ 登録には申請が必要です。
適格請求書発行事業者は、取引を行った場合に、相手方の求めに応じて適格請求書を交付する義務があります。
しかし
次のような取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難です。適格請求書の交付義務が免除されます
① 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
② 出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
③ 生産者が農業協同組合、漁業協同組合または森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
④ 3万円未満の自動販売機および自動サービス機により行われる商品の販売
⑤ 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
このうち「③」の取引を具体的にみていきます
これは、農業協同組合や農事組合法人、水産業協同組合法に規定する水産業協同組合、森林組合法に規定する森林組合および中小企業等協同組合法に規定する事業協同組合や協同組合連合会の組合員その他の構成員が、農協などに対して、無条件委託方式かつ共同計算方式により販売を委託した、農林水産物の販売(その農林水産物の譲渡を行う者を特定せずに行うものに限ります。)は、適格請求書を交付することが困難な取引として、組合員等から購入者に対する適格請求書の交付義務が免除されるというものです。
この場合において農林水産物を購入した事業者は
適格請求書に代えて、農協等が作成する一定の書類を保存することが仕入税額控除の要件となります。
農協等が作成する一定の書類とは
農協等は生産者(販売委託者)に代行して、購入者に対して発行するものです。この書類は生産者(販売委託者)が発行するものではありません。
しかし、法定事項が記載されていることを条件に、適格請求書と同効力があるものとして取り扱います。
<参考>
保存すべき請求書等には、適格請求書のほか、次の書類等が含まれます。
(新消費税法第30条第9項)
イ 適格簡易請求書
ロ 適格請求書又は適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録
ハ 適格請求書の記載事項が記載された仕入明細書、仕入計算書その他これに類する書類(課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限ります。)(書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)
ニ 次の取引について、媒介又は取次ぎに係る業務を行う者が作成する一定の書類(書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)
・ 卸売市場において出荷者から委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の販売
・ 農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等が生産者(組合員等)から委託を受けて行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式によるものに限ります。)
課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等
(新消費税法施行令第49条第6項)
「第30条第9項第4号に規定する政令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 書類の作成者の氏名又は名称及び登録番号
二 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
三 課税資産の譲渡等に係る資産の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
四 課税資産の譲渡等に係る税抜価額(法第57条の4第1項第4号に規定する税抜価額をいう。)又は税込価額(同号に規定する税込価額をいう。)を税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率
五 消費税額等(法第57条の4第1項第5号の規定に準じて計算した金額をいう。)
六 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」
(出所:国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A )
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
初夏の1日、笑顔の多い1日となりますように
【編集後記】
画像は7月2日のオープンに向けての近くのお店の様子。
「練習中」という張り紙に笑ってしまいました。
「新規オープンに向けて準備中です」ぐらいが適当かと思いますが、逆に必死さと初々しさが伝わってきます。
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