「NHKクロ現プラス『介護保険の大改革』一律にどんな人にも自立を促すというわけにはいかない!』(その3) 【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】
7月19日にNHKの「クローズアップ現代プラス」で大東市が紹介され、その取り組みを8月5日・6日に連続して記事にしました。その続きです。番組の後半では、介護保険改革の陰で浮かび上がる課題とその理由を紹介しています。
(上図は平成28年大東市の「高齢者のための暮らしの情報から」)
自立支援といっても、一律にどんな人にも自立を促すというわけにはいかない?
佐々木淳氏(医師)は次のとおり
「そうですね。一般に要支援の人といってもいろんな方がいらっしゃいます。運動によって元気になれる方もいらっしゃれば、やはり病気などがあって非常に繊細なケアを必要としている方もいらっしゃいます。実際このお2人の方(番組の中で自立がうまくできなかったとして紹介されたAさん・Bさん)は、自立支援のために生活の質が下がってしまったということで、やはり個別にアセスメントをしていくということがとても大切だと思います。」
(上記はNHKの番組HPより引用しています)
「やはりその人ごとにお体の状態や病気、それぞれの方が生きてきた人生、あるいは人生観といったもの、みんな違いますので、それに基づいて本当にその人にとって必要な支援は何かというのを考えていくことが大事だと思います。」
これらは当然のことだと思いますね。私は介護分野の専門職ではありませんが。介護保険の保険事故を判断する要介護認定は要支援から要介護5までの7段階しかありません。それら7つの区分で判定する中で、一人一人対応した個別のアセスメントが必要だというのはそのとおりですよね。
自立支援とひと言で言うが、そもそも本来どうあるべきですか?
同医師は次のとおり
「実は自立支援には2つの意味があります。日本では体に残っている「残存機能」といいますが、それを強化するということが自立支援と一般的には思われていますけれども、実は国際的には生活を継続できること。あるいは自己決定権が尊重されることが実は自立支援としてとても重要で、残存機能の強化というのはそのための手段にしかすぎないと考えられているのですね。」
「なので、最後までその人らしい生活が送れること、最後まで自分自身の人生の主人公として生きられること。これこそがまさに自立支援なのだと思います。」
(上記はNHKの番組HPより引用しています)
自立支援とは、①生活が継続できること。②自己決定が尊重されるということ。それがセットでないと本当の意味での自立にはならないという、ことだそうです。
実は、私は自立支援とは残存機能を強化することだと思っていました。
番組はこうした介護保険改革の背景には次の事情があると指摘しています。
① 介護保険のひっ迫 介護給付費 2000年(3.6兆円)⇒ 2017年(10.8兆円)
② 介護保険料の上昇 2,911円(2000~02年平均)⇒ 8,165円(2025年度予測)
介護給付費は既に3倍になっていますし、介護保険料は約3倍になると予測されています。そもそも、介護保険の財源には税金が半分投入されていますよね。
それらを踏まえて、消費税は2年後の2019年10月には税率が8%から10%になる予定です。1%を上げることで約2兆円の税収が増えると言われています。
税理士の立場から、社会保障(ここでは介護給付費と介護保険料の金額やサービスの質と量)と税金(ここでは消費税率のアップ)との対応をどう考えるかは大変重要だと思っています。
その使い途から、収入をどう考えるかです。
火・木・土曜日は、最近は「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
入門書よりさらに分かりやすい「門前書」を目指して、介護事業の基礎知識をバージョンアップさせるとともに、お会いする介護事業者の方の取り組み方や考え方などを紹介していきたいと思っております
【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】の大東市の取り組みの紹介記事は次のとおり。
・「大東市がつくった株式会社が、総合事業改革塾を開校する。」はこちら(7/29)
・「大東市がつくった株式会社の理念は、全国で200億円~1,000億円の社会保障費を削減し、国民を健康にする」はこちら(7/30)
・「大東市の逢坂伸子氏の取り組み その1」はこちら(8/1)
・「大東市の逢坂伸子氏の取り組み その2」はこちら(8/3)
・「NHKクロ現プラス『介護保険の大改革』大東市の取り組み その1」はこちら(8/5)
・「NHKクロ現プラス『介護保険の大改革』大東市の取り組み その2」はこちら(8/6)
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