遺産分割前の相続預金の払い戻し制度 (相続開始時の預貯金の額×1/3×相続人の法定相続分)~ 贈与や相続・譲渡など資産税[43]
資産税に関する記事です。
今回は
「遺産分割前の相続預金の払い戻し制度」のうち、家庭裁判所の判断を経ずに払戻しができる制度
を紹介します。
口座名義人が死亡し、口座名義人の預金(相続預金)が遺産分割の対象となる場合には、遺産分割が終了するまでの間、相続人単独では相続預金の払戻しを受けられません。
このため、遺産分割が終了する前であっても、各相続人が当面の生活費や葬儀費用の支払いなどのためにお金が必要になった場合に、相続預金の払戻しが受けられるよう、平成30年7月の民法等の改正により、相続預金の払戻し制度が設けられています。
つまり、遺産分割前の相続預金権のうち一定額については、単独での払戻しが認められます
相続人は遺産分割が成立しない場合であっても、次の算式により計算した金額の範囲内で、金融機関にたいして、預貯金の払い戻しを受けることができます。
相続開始時の預貯金の額×1/3×その相続人の法定相続分
次の例でいえば、たとえば被相続人の預金が600万円であれば
(出所:法務省HP)
■ 長男は、100万円を単独で払戻しをすることができます。
■ 600万円×1/3×1/2=100万円
ただし、金融機関ごとに150万円が払い戻し請求の限度額になります。
また、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)からの払戻しは150万円が上限になります。
この相続預金の払戻し制度を利用する場合、本人確認書類に加えて、次の書類が必要となります
① 被相続人除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
② 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
③ 預金の払戻しを相続人の印鑑証明書
(出所:一般社団法人全国銀行協会HP)
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