給与所得と年金所得の両方がある人で所得金額調整控除が適用される場合の公的年金等控除額の計算で注意したいポイント ~ 確定申告で間違いやすい項目50
個人の確定申告に関係する記事を掲載します。
今日は
給与所得と年金所得の両方がある人の所得金額調整控除では、公的年金等控除は所得金額調整控除前の給与所得で判定します
を紹介します。
給与所得と公的年金の双方を有する方は、給与所得控除・公的年金等控除の双方の引き下げにより、基礎控除の引き上げだけではカバーできない負担増が発生します。
そうした場合において次のような「所得金額調整控除」が創設されています。
適用対象者とは
その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える者
所得金額調整控除額とは
{給与所得控除後の給与等の金額(10万円を限度) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円を限度)}-10万円=控除額※
※総所得金額の計算上、「給与所得の金額」から控除します。
所得金額調整控除が適用される場合の公的年金等控除額の計算は次のように行います
たとえば、給与所得と公的年金等に係る雑所得を有する者で
■年齢:64歳
■給与収入:1,196万円
■公的年金等の収入:110万円
■本人、同一生計配偶者および扶養親族は特別障害者ではありません。
■23歳未満の扶養親族はいません。
次のように計算していきます。
①給与所得(所得金額調整控除前)
1,196万円-195万円(給与所得控除)=1,001万円
②公的年金等に係る雑所得
110万円-50万円(公的年金等控除)=60万円
③給与所得(所得金額調整控除後)
1,001万円-10万円(給与所得、公的年金等に係る雑所得がどちらも10万円を超えているため上限額)=991万円
公的年金等控除は所得金額調整控除前の給与所得(1,001万円)で判定します
したがって、公的年金等控除は50万円です。
参考までに公的年金等所得金額の計算は次のようになっています。
(出所:東大阪市HP)
所得金額調整控除後の給与所得(991万円)で判定してしまうと、公的年金等控除が60万円になってしまいます。
公的年金等に係る雑所得の金額を計算する場合における「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」とは
公的年金等の収入金額がないものとして計算した場合における合計所得金額とされているため、給与所得と公的年金等に係る雑所得を有する者の場合の規定による所得金額調整控除の適用はないものとして計算することとなります。
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