井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.12.04.Fri | 税金(相続・贈与・譲渡)

母親の配偶者居住権の消滅後に所有者の息子が建物・土地を譲渡した場合 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[30]



配偶者居住権の記事を掲載します。


今回は



母親の配偶者居住権の消滅後に、所有者の息子が建物・土地を譲渡した場合



を紹介します。


(画像は舞鶴市の煉瓦倉庫です。)


今回お伝えするのは少し複雑なパターンです。



対価を払って配偶者居住権を消滅させた後、所有者の息子が建物・土地を譲渡した場合について検討します。

時系列にいうと次のような経過です。


(1)夫が死亡し、遺贈により妻Aに終身の配偶者居住権が設定された後、子どもBが自宅の土地・建物の所有権を取得しました。(取得日:2021年3月20日)


(2)その5年後に、子どもBがA(母親)に対価を払って配偶者居住権を消滅させました。(消滅日:2026年3月20日)


(3)その後に子どもBが建物・土地を譲渡した場合(譲渡日:2026年9月25日)




(1)配偶者居住権設定に関する資料


■建物・土地所有者:被相続人(夫)

■夫死亡日:2021年3月20日

■建物相続税評価額:2,000万円

■土地相続税評価額:5,000万円

■被相続人の土地・建物の取得日:2010年12月1日

■被相続人の建物の建築費3,000万円

■被相続人の土地の取得費5,000万円

■配偶者の年齢:80歳10月(夫死亡日時点)

■建物・土地の相続人:長男

■建物構造:木造(法定耐用年数:22年)



(2)配偶者居住権を消滅日に関する資料


■配偶者居住権放棄日:2026年3月20日(対価の支払い有り)

■配偶者居住権の対価:842万円

■土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)の対価:1.055万円

■配偶者居住権消滅時の建物相続税評価額:1,500万円

■配偶者居住権消滅時の土地相続税評価額:5,000万円



(3)配偶者居住権の消滅後の所有者の譲渡に関する資料


■建物・土地の売却価格:8,000万円

■譲渡日:2026年9月25日


建物の(2)の配偶者居住権消滅時の取得費の計算



① 消滅時の建物の取得費


配偶者居住権の設定時の被相続人から引き継いだ建物取得費

 3,000万円-3,000万円×0.9×0.031×15年※※=1,745万円

※ 耐用年数 22年×1.5=33年の定額法の償却率

※※ 2010/12/01~2026/03/20:15年3月→15年



② 消滅時の配偶者居住権の取得費


1,745万円×1,329万円/2,000万円※※×(1-5/12※※※)=676万円

※ 配偶者居住権の設定時の価額:1,329万円

※※ 相続開始時の建物相続税評価額:2,000万円

※※※ ア/イ

ア:配偶者居住権の設定時から消滅時までの期間

2021/03/20~2026/03/20:5年

イ:配偶者居住権の存続期間

12年


③ 建物の所有権部分の取得費(配偶者居住権の取得時)


① – ② = 1,069万円


④消滅の対価


842万円


⑤取得費の合計


ⅰ ③+④=1,911万円 

ⅱ 1,911万円×(1-0.9×0.031×1年)=1,858万円



土地の(2)の配偶者居住権消滅時の取得費の計算




①消滅時の土地の取得費


5,000万円


②消滅時の配偶者居住権の敷地利用権取得費


5,000万円×1,055万円/5,000万円×(1-5/12)=615万円


③土地の価額


①-②=4,385万円


④消滅の対価


1.055万円


⑤取得費の合計



長期譲渡所得になります




③+④=5,440万円

8,000万円-(1,858万円+5,440万円)=702万円





変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

冬の1日を元気にお過ごしください。



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