居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除の制限(金地金還付スキーム封じ) ~ 消費税[65]
消費税改正の記事を掲載します。
今回は
居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除の制限について(還付スキーム封じ)
を紹介します。
問題となっていた3年間は課税売上割合が下がらないようにする「金地金還付スキーム」に対する消費税法の改正です。
住宅の家賃収入は非課税売上げです。住宅として貸付けを行う建物の取得に係る課税仕入れは、非課税売上に対応する課税仕入れです。
したがって、仕入税額控除の対象とはなりません。
しかし、金地金などの売買を繰り返し行うことによって意図的に課税売上割合を引き上げて、仕入税額控除の適用を受ける還付スキームが問題となっていました。
そのスキーム封じのための改正です。
改正内容は次のとおりです。
「居住用賃貸建物」に係る課税仕入れ等の税額には,仕入税額控除の規定は適用されません(令和2年10月1日以後)
つまり、居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としません。
居住用賃貸建物とは
「非課税となる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」以外の建物であって、高額特定資産または調整対象自己建設高額資産に該当するものをいいます。
「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは
建物の構造および設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいいます。
たとえば、次に掲げるような建物が該当します。
(イ) 建物のすべてが店舗等の事業用施設である建物など、建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物
(ロ) 旅館またはホテルなど、旅館業法に規定する旅館業に係る施設の貸付けに供することが明らかな建物
(ハ) 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの
居住用賃貸建物の判定について
居住用賃貸建物に該当するかどうかは、課税仕入れを行った日の状況により判定します。
課税仕入れの時点で住宅の貸付けの用に供するか否か不明な建物については、住宅の貸付けの用に供する可能性のあるものについては、原則として、居住用賃貸建物に該当することになります。
ただし、課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日において
住宅の貸付けの用に供しないことが明らかにされたときは,居住用賃貸建物に該当しないものとすることができます
店舗兼住宅など住宅貸付けの用に供しないことが明らかな部分がある居住用賃貸建物について
建物の一部が店舗用になっている居住用賃貸建物を、その構造および設備その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分とそれ以外の部分(「居住用賃貸部分」といいます。)とに合理的に区分しているときは、その居住用賃貸部分以外の部分に係る課税仕入れ等の税額については、これまでと同じく仕入税額控除の対象となります。
<参考>
高額特定資産とは
棚卸資産および調整対象固定資産のうち、その価額が1,000万円以上であるものをいいます。
調整対象自己建設高額資産
事業者自ら建設等をした棚卸資産で、その建設等に要した課税仕入れに係る支払対価の額の 100/110 に相当する金額が1,000万円以上となったものをいいます。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
秋の1日を元気にお過ごしください。
[編集後記]
コロナ後久しぶりに、所用で隣町の摂津市役所に伺いました。(トップ画像)
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