井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.09.01.Tue | 介護事業

「介護人材の確保・介護現場の革新」についてのこれまでの主な意見 ~ 2021年度介護報酬改定に向けて[8]

 

 

社会保障審議会・介護給付費分科会で、2021年度の介護報酬改定の議論が進んでいます。

 

今回は

 

「介護人材の確保・介護現場の革新」についてのこれまでの主な意見

 

をご紹介します。

 

介護報酬改定に向けた今後のスケジュールは次のとおりです

 

 

 

①分科会で2020年夏まで総論的な議論を行います。

②分科会で2020年秋以降に具体的な議論を行います。

③年末の予算編成過程で改定率が決まります。

④改定率を踏まえて2021年1月頃に答申を行います。

 

 

 

第176回(20/03/16)以降の介護給付費分科会で出された意見を、事務局が取りまとめています。

次の4つのテーマで取りまとめています。

この資料から分科会でのこれからの議論の方向性を考えることができます。

 

4つのテーマは次のとおりです

 

①地域包括ケアシステムの推進

②自立支援・重度化防止の推進

介護人材の確保・介護現場の革新

④制度の安定性・持続可能性の確保

 

今回は、このうち③の「介護人材の確保・介護現場の革新」についてのおもな意見をご紹介します。

 

「介護人材の確保・介護現場の革新」の考え方は次のとおりです

 

■今後の後期高齢者の急増と生産年齢人口の急減に対応した見直しを行う必要があります。

 

■介護人材の確保のため、介護現場の革新、感染症に配慮した改革、安全で働きやすい職場づくりが重要です。

 

■適切な人材確保や介護従事者全体の処遇改善、サービスの質の向上を図るための適切な報酬評価をする必要があります。

 

■介護職員の人材確保・職場定着の実現のため、仕事へのやりがいや、職場全体の雰囲気の良さ、ワークライフバランスに配慮した勤務体制等が重要であるとのデータもあることから、それに向けての後押しが必要です。

 

■人材確保については、介護職の魅力を高めるため、保険外のサービスを組み合わせて新しいビジネスをつくっていくという観点も重要です。

 

事業所間の連携について

 

■介護人材の確保に関連して、柔軟に人材を活用できるようにする一方で、サービスの質と仕事の質を維持するための方策についても検討が必要です。

 

■人材確保の観点から、同一拠点において複数の事業所を展開している場合の職員の専従要件については、職務負荷に留意しつつ、見直しの検討が必要です。

 

■在宅でのサービス提供において、利用者や保険者を中心として、より効率よく取り組めるように事業所間の連携を推進してもらいたいです。

 

■単一のサービス、小規模事業所をたくさん整備していくよりも、これからは医療ニーズにも介護ニーズにも応えられるような、1つの事業所の多機能化を推し進めていく必要です。

 

■離島や中山間地域など、先行して高齢化や現役世代の減少が進んでいる地域では人手不足が特に深刻です。このような地域でも安定的・持続的に介護保険サービスが提供できるような支援体制の整備を検討して欲しい。

 

専門職の連携について

 

■人材確保が困難となる中で、専門職人材の活用についても検討が必要です。専門性の高い人材は事業所や施設を超えて、相互連携し合うような報酬体系が必要です。

 

■今後ますます多様化する介護職のチームの中で、中核人材となる介護福祉士のマネジメント力が重要です。そのような人材を育成するための仕組みが必要です。

 

■地域包括ケアシステムの推進と地域共生社会の実現という形で検討を整理していく必要があり、専門職連携を進めるに当たっては、事業所だけではなく、通いの場などの事業も通じた地域で人材を考える必要です。

 

処遇改善について

 

■介護人材の確保に関しては、特定処遇改善加算も新設され、思い切った改善が図られたと考えています。処遇改善加算が介護職員の処遇等にきちんと反映されているか検証しながら、加算の在り方や見直しの検討、介護人材不足の解消につなげていくことが必要です。

 

■仕事の大変さに対して依然として全産業平均と比較し、年収に差があると言う実情や、介護職を辞めた理由で賃金が理由になっているというデータが複数あることを踏まえて、処遇改善の措置について考える必要があります。

 

■処遇改善加算の計画書や実績報告書が一本化されたことにより、簡素化が図られている一方で、きちんと処遇改善に取り組まれているかの指導監督が困難となっている状況も生じているところです。例えば基本報酬に組み込むなど制度設計の更なる改善を検討すべきです。

 

■特定処遇改善加算が、全事業所で取得されるよう、手続の簡素化を進めるとともに、事業所における職員間の賃金配分について、柔軟な対応が可能となるよう検討が必要です。また、特定処遇改善加算について、より多くの事業所において適切な配分がなされるような取組を進めるべきです。

 

研修等の実施について

 

■様々な団体が行う認知症の研修について、有資格者の必須研修としてはどうでしょうか。また、これらの研修について、一度精査し、他の研修と重複する部分は、他の研修受講をもって履修済みとするなどの整理を行い、学びやすい環境を整えることが重要です。

 

■ハラスメント対策やチームマネジメントにおいても介護福祉士がリーダーシップを取れるよう、介護福祉士の役割や機能の明確化を図るとともに、その役割や責任を果たすための資質を高めるための養成、研修や教育の体系を構築することが重要です。

 

配置要件など

 

■同一拠点内において複数事業所を展開している場合、職員の専従要件については職務の負担に留意しつつ見直しを検討すべきです。基準上の要件の見直しや加算要件の緩和、ローカルルールの扱いの統一化など、地域において各職員の専門性をより発揮できるように、柔軟な取扱いが進むように検討して欲しい。

 

仕事と介護の両立について

 

■介護を原因とした離職がない社会の実現のための施策が必要です。

 

ロボット、ICTの活用について

 

■介護ロボット等の技術については、介護現場の生産性向上に向けて非常に重要であり、介護報酬上の対応も検討していくことにはなりますが、導入の成功事例なども広く共有し、活用を促進していくことも重要です。

 

■介護ロボット等の導入、活用に向けたインセンティブを与えるような仕組みが必要です。導入に当たっては、利用者の体調や感情の変化に気づきにくいとの声があることも踏まえ検討すべきです。

 

■ロボットやセンサーなどの様々なICTの効果的な活用を促す措置が必要です。介護現場の革新を図っていく必要があります。

 

■ICT導入支援、補助制度も整えてはいるが、各場面でICT機器の導入を想定した基準省令や報酬・加算算定要件等の見直しが必要です。

 

■ICTの活用は、サービスの質の向上や職場環境改善の重要なツールとして考えられることから、具体的な活用方法を実際の活用例等も踏まえ検討すべきです。ICT導入については、介護サービス生産性向上ガイドラインを基本とした体制を整備し、目標設定とPDCAを確立させた計画性のある導入が必要です。

 

■ICTの活用や文書負担軽減などの働いている人への支援は重要である一方で、この視点が職員数の減に繋がることのないよう、慎重に検討すべきです。

 

■新型コロナウイルス感染症対策の関係で、加算要件等における研修や会議のオンライン化等が認められていますが、研修は引き続きICTの活用ができるようにすることや、加算要件等となる会議等でもオンラインを認めることを前提に、見直しを行うべきです。また、研修のオンライン化については、教材の標準化など、質の担保も必要です。分科会もリモート方式で実施されたところであり、効率的に実施できる業務は効率的に実施できるようしていくべきです。

 

■新型コロナウイルス感染症でリモートワークが進みましたが、過去からリモートワークを進めている会社では、雑談を省いてはいけないということが指摘されており、このような現場の声も踏まえて検討していくことが必要です。

 

■介護職員は、行ったケアで利用者が元気になることや笑顔になることなどが、最大の醍醐味です。ICTやロボット、業務効率化は進めるべきであるが、それだけでは人材確保につながらないということも踏まえ検討すべきです。

 

■介護現場革新の事例の横展開について、介護助手やロボット、ICTに関し、モデルとなった自治体の取組結果も出ているが、より精査してエビデンスを検証し、効果的・効率的な横展開を図って欲しい。

 

 

(出所:社会保障審議会介護給付費分科会資料 20/07/08)

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

秋の1日を元気でお過ごしください。

 

2021年度介護報酬改定に向けて

[1] 改定のスケジュールと改定の論点となる「地域包括ケアシステムの推進」

[2] 改定の論点「自立支援・重度化防止の推進

[3] 介護報酬改定の論点「介護人材の確保」

[4]  「介護現場の革新」とはなにか

[5]   2021年度介護報酬改定の論点「制度の安定性・持続可能性の確保

[6] 「地域包括ケアシステムの推進」についてのこれまでの主な意見

[7] 「自立支援・重度化防止の推進」についてのこれまでの主な意見

 

2040年問題

① 介護保険制度地域支援事業の「生活支援サービス」へのニーズの増加

 介護サービスの利用者数は2040年度までに約1.5倍に増える見込です

③ 「ポスト2025年」2040年に向けて介護事業を考えるときの視点

④ 2040年に向けて介護事業を考えるときの視点「健康寿命の延伸」とは

 介護事業を考えるときの視点「医療・福祉サービスの改革」とは

⑥ 介護事業を考えるときの視点「健康寿命の延伸プラン」の内容とは

⑦ 生産性の向上を図るための「医療・福祉サービスの改革」の内容とは

 「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」マンパワーシミュレーション

 介護ロボット開発等加速化事業と税制優遇措置(税額控除と固定資産税の特例

⑩ 介護ロボットの導入による業務負担軽減と経営力向上計画の作成

⑪ 管理者要件」主任ケアマネジャー以外も継続可能です。経過措置を6年間延長

 2021年度介護報酬改定に向けた検討事項について

 2021年度「介護保険制度改正の全体像」(介護保険制度の見直し関する意見

 「一般介護予防事業の推進」~介護保険制度の見直し関する意見

⑮ 総合事業の効果的な推進 ~ 介護保険制度の見直し関する意見(介護保険部会

 求められるケアマネジメントとは何か

 保険者(市町村)機能の強化を図るためのPDCAプロセスの推進

 保険者(市町村)機能の強化【調整交付金】【データ利活用の推進】

 地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの取り組みが必要

 地域包括ケアシステムの推進【医療・介護の連携

㉑ これからの介護保険事業計画における「認知症施策の総合的な推進

 「介護人材の確保と介護現場の革新」~介護保険制度の見直し関する意見

 被保険者範囲と受給者範囲の見直しの視点【介護保険制度の見直し関する意見】

㉔ 今後の補足給付の在り方についての検討【介護保険制度の見直し関する意見】

㉕ 施設サービスにおける多床室の室料負担について

 ケアマネジメント(居宅介護支援)の10割給付(自己負担はゼロ)の見直し

 軽度者(要介護1・2)への生活援助サービスに関する給付の在り方について

 費用負担が重いときの高額介護サービス費(利用者負担が一定額を超えると払い戻しされます)について

 利用者負担割合を「3割」または「2割」とする所得等基準について

 現金給付を介護保険給付として制度化するか否か

 要介護認定制度の簡素化について

㉜ 住所地特例の対象施設と同一市町村にある認知症高齢者グループホームを住所地特例の対象とすることについて

 

 

高齢化に伴う日本の社会的課題に対して、会計・税務専門職としての役割を果たしたいと考えております。

 

火曜日は、介護事業に関する記事を紹介しています。

ブログ記事は

http://www.y-itax.com/category/kaigo/

 

 

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ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「介護事業」

・水曜日は「消費税」

木曜日は「知っておきたい法人税の基礎知識」

・金曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」

・土曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」

・日曜日は、テーマを決めずに書いています。

 

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