井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

一からはじめる会計のお手伝い。スタートアップの志を支える税理士。
Blog丁寧解説お役立ちブログ。
2020.08.26.Wed | 消費税

免税事業者が課税事業者となったときは、期首在庫に含まれる消費税の取り扱いに注意します ~ 消費税[57]

 

水曜日は消費税の記事を書いています。

 

今回は

 

免税事業者が課税事業者となったときは、期首在庫に含まれる消費税に注意

 

を紹介します。

 

免税事業者から課税事業者となる場合、消費税については棚卸資産の調整が必要になります。

 

つまり、期首在庫に含まれる消費税は仕入税額控除の対象となります

 

免税事業者が新たに課税事業者となる場合に、課税事業者となる日の前日において所有する棚卸資産のうちに、納税義務が免除されていた期間において仕入れた棚卸資産があるときは、その棚卸資産に係る消費税額を、課税事業者になった課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなして仕入税額控除の対象とします。

 

この取扱いは次のような理由から

 

課税事業者になってから販売した場合、その売上げについてだけ消費税が課税されることになり、継続した課税事業者とくらべると不利な取り扱いになるとともに、その売上げに対する消費税とバランスをとるためです。

 

棚卸資産とは

 

対象となる棚卸資産は、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品などで、現に所有しているものをいいます。

 

仕入税額控除の対象とすることができる棚卸資産の消費税額の計算は

 

棚卸資産の取得費用の額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となる棚卸資産については108分の6.24)を掛けた金額となります。

棚卸資産の取得費用の額には、その棚卸資産の購入金額のほかに、引取運賃や荷造費用、そのほかこれを購入するために要した費用の額などが含まれます。

 

書類保存の必要があります

 

この適用を受けるためには、対象となる棚卸資産の明細を記載した書類をその作成した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヵ月を経過した日から7年間保存しなければなりません。

 

これとは逆に課税事業者が免税事業者となった場合には

 

課税事業者であった課税期間の末日において所有する棚卸資産のうちその課税期間中に仕入れた棚卸資産に係る消費税額は、その課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額には含まれませんので、注意します。

 

<参考>

消費税法 第36条第1項

納税義務の免除を受けないこととなつた場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整

「第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者が、同項の規定の適用を受けないこととなつた場合において、その受けないこととなつた課税期間の初日の前日において消費税を納める義務が免除されていた期間中に国内において譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産又は当該期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物で棚卸資産に該当するものを有しているときは、当該課税仕入れに係る棚卸資産又は当該課税貨物に係る消費税額をその受けないこととなつた課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなす。」

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

夏の1日を元気にお過ごしください。

 

 

創業者には、事業を着実に成長させるために、決算書の会計データを計器盤として利用することをおすすめしています。次のようなサービスを提供しています。

創業起業サポート 

 

お伺いして、会計処理や税務の相談や提案などさせていただくサポートサービスを提供しています。

税務会計顧問サービス

 

 

消費税[パート2]

[51] 「免税事業者の判定」特定期間の課税売上高について注意するポイント

[52] 前受金、仮受金として金銭を受け取ってもその時点で消費税はかかりません

[53] 飲食店主が業務用食材を使って食事をしました。消費税の課税対象になります

[54] 新車の販売業者が中古車を下取りした場合、下取り価額控除前の金額が課税対象になります

[55]  売上げに返品や値引きがあった場合の消費税の課税標準額の計算

[56]   免税事業者から商品を仕入れた場合、消費税の納税義務者ではないので「課税仕入れ」に該当しない?

 

消費税[パート1]

 持ち帰りと店内飲食を、税込みで同じ価格にする方法があります

② 国内で行う商品の発送、内国法人は輸出免税の適用を受けることができません

 海外事業者から商品の販売委託を受ける場合

 消費税アップ後、消費税負担が下がり増税後の方が得になります

⑤ どう選択するか?「軽減税率対策補助金」と「キャッシュレス・消費者還元事業

⑥ 軽減税率導入に伴う、飲食料品を取扱う「卸売業者」や「小売業者」のキホン

 税抜き/税込み、どちらの表示が正しいの?わかりづらい外税表示と総額表示

 わかりやすい表示について考えます

⑨ 来年の確定申告時には消費税率8%から10%の差額に対応する消費税額が増加しま

 国外事業者に支払うインターネット宿泊予約サイトへの掲載手数料の取扱い

⑪ 「消費税の軽減税率」で飲食店の価格表示はどうなるのか?どうするのか

⑫ テイクアウトできる飲食店の価格表示?税込価格を異なるようにする場合

 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの食事の提供は課税です

 有料老人ホームなどで提供される食事が軽減税率(8%)となる場合のルール

 有料老人ホームなどで提供される食事が、軽減税率(8%)とされる理由

⑯ 有料老人ホームなどで提供される食事が、軽減税率(8%)となるための金額ルール

 老人ホームの食事に厨房管理費と食材費がある場合の軽減税率の考え方

 「簡易課税」とは。簡易課税の選択を検討することをおすすめします

 「原則課税」または「簡易課税」の選択。その有利・不利の判定の仕方

 決算書類からは消費税確定申告書の作成ができません

 お店が8%と10%の商品を購入した際、税込経理でも区分経理が必要です

㉒ 消費税の「不課税」「課税」「非課税」の判定について

㉓ コンビニのポイント還元即時充当の取引の記帳方法について

 個人で開業した際に、最初に消費税について考えるべきこと

 ポイント即時充当によるキャッシュレスの消費税仕入税額控除の考え方

㉖ 税率ごとに区分経理した帳簿から「課税取引金額計算表」を作成します

㉗ 区分経理が間に合わない個人事業者のための「消費税簡易課税制度選択届出書」特例

 還元事業の「ポイント付与」「口座充当」「引落相殺」「即時充当」の会計処理

㉙ 消費税の課税事業者とは?申告に必要な手続き。「消費税課税事業者届出書」の提出

㉚ 消費税の納税義務者でなくなったときにも手続きが必要です

 課税事業者になる方が有利な場合に提出します「消費税課税事業者選択届出書

 「消費税簡易課税制度選択届出書」と「特例消費税簡易課税制度選択届出書

 軽減税率制度の確定申告書を作成する際のチェックポイント

 複数税率制度に伴う新しい消費税申告書の「誤り事例」

 簡易課税制度適用事業者が免税事業者となった後、ふたたび課税事業者となった場合

 消費税の課税事業者選択について、提出した日から適用できるケース

㊲ 高額資産を購入した場合、簡易課税が適用できないケース

 賃貸オフィスの「権利金」「更新料」「保証金」「敷金」の消費税の取扱いについて

 賃貸マンションを売却した際に、買主から受け取る固定資産税の消費税の取扱

 ビール券や商品券の消費税(課税・非課税・不課税)の取扱いの考え方

 認可外保育所の利用料について、消費税が非課税になるケースがあります

 基準期間の課税売上高1,000万円を超える事業主は、消費税の納税義務があります。その場合、今年の課税売上高がいくらかは関係ありません。

 課税期間開始後であっても課税事業者を選択することができます「新型コロナ特例」

 課税期間開始後であっても課税事業者の選択をやめることができます「新型コロナ特例」

㊺ 課税期間開始後であっても簡易課税制度を選択(または選択をやめる)ことができます~新型コロナなど災害により被害を受けた場合の特例

 新設法人などが調整対象固定資産を取得した場合、納税義務が免除になります~新型コロナ特例

㊼ 高額特定資産を取得した場合、特例対象者は納税義務が免除になります

 廃業後、個人事業者が新たな事業を開始した場合の納税義務の考え方

 相続で事業を引き継いだ場合の個人事業者の消費税納税義務について

 基準期間の課税売上高。免点の1,000万円と比較する課税売上高に含めるもので注意するポイント

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「介護事業」

・水曜日は「消費税」

木曜日は「知っておきたい法人税の基礎知識」

・金曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」

・土曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」

・日曜日は、テーマを決めずに書いています。

 

免責

ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

投稿タグ
カテゴリーで絞る
back記事一覧へ戻る

まずはお気軽にお問い合わせください

06-6318-7726

営業時間:9:00~17:00(月曜日~金曜日)

メールでのお問い合わせ