課税売上げに返品や値引きがあった場合の消費税の課税標準額の計算 ~ 消費税[55]
水曜日は消費税の記事を書いています。
今回は
課税売上げに返品や値引きがあった場合の消費税の課税標準額の計算について
を紹介します。
返品、値引きは原則別枠控除します
課税資産の譲渡等につき返品、値引きなどがあった場合、 課税標準額は返品額や値引額を差し引かずに計算し、返品、値引きなどに係る消費税額は、課税標準額に係る消費税額から、別枠で税額控除します。
言い換えますと
返品や値引きなどがあった場合は、返品などが行われた日の属する課税期間の課税標準額を調整するのではなく、その期間の課税標準額に対する消費税額を修正する方法で調整を行うのが原則です。
ただし、次のような簡便な計算も認められています
返品、値引きなどがあった場合に、売上高から控除する会計処理を継続して行っているときは、控除後の売上高を用いて課税標準額を計算することが認められます。
返品などが発生した期間に税額控除します
返品、値引きなどに対する税額調整は、その返品や値引きが発生した課税期間で税額控除することとなります。
免税事業者であったときの返品が生じた場合には
免税事業者であったときの課税売上げについて、課税事業者になってから返品や値引きが生じた場合は、免税期間中に行われた売上げには課されるべき消費税が含まれていませんので、課税事業者になってから返品や値引きが発生しても税額控除することはできません。
当然ですが、輸出免税売上や非課税売上げについては、返品や値引きがあったとしても税額控除できません。
<参考>
消費税法 第38条
売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除
「事業者が、国内において行つた課税資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該課税資産の譲渡等の対価の額と当該対価の額に100分の10を乗じて算出した金額との合計額の全部若しくは一部の返還又は当該課税資産の譲渡等の税込価額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額をした場合には、当該売上げに係る対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間において行つた売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除する。」
消費税法基本通達 10-1-15
返品、値引等の処理
「事業者が、その課税期間において行った課税資産の譲渡等につき、当該課税期間中に返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをした場合に、当該課税資産の譲渡等の金額から返品額又は値引額若しくは割戻額を控除する経理処理を継続しているときは、これを認める。」
「(注)この場合の返品額又は値引額若しくは割戻額については、法第38条第1項《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》の規定の適用はないのであるが、同条第2項に規定する帳簿を保存する必要があることに留意する。」
消費税法基本通達 14-1-8
売上げに係る対価の返還等の処理
「事業者が、売上げに係る対価の返還等(免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等に係るものを除く。)を行った場合において、当該課税期間に国内において行った課税資産の譲渡等の金額から当該売上げに係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を継続して行っているときは、これを認める。」
「(注)この場合、当該売上げに係る対価の返還等の金額については、別途法第38条第1項《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》の規定の適用はないのであるが、同条第2項に規定する帳簿を保存する必要があることに留意する。」
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㉛ 課税事業者になる方が有利な場合に提出します「消費税課税事業者選択届出書」
㉜ 「消費税簡易課税制度選択届出書」と「特例消費税簡易課税制度選択届出書」
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㊶ 認可外保育所の利用料について、消費税が非課税になるケースがあります
㊷ 基準期間の課税売上高1,000万円を超える事業主は、消費税の納税義務があります。その場合、今年の課税売上高がいくらかは関係ありません。
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㊻ 新設法人などが調整対象固定資産を取得した場合、納税義務が免除になります~新型コロナ特例
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㊾ 相続で事業を引き継いだ場合の個人事業者の消費税納税義務について
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