地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の改正~〝モデルとなった和光市の市町村特別給付などの地域支援事業〟
和光市が実施している特徴的な地域支援事業の取り組みをお伝えします。
「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が5月に可決。6月に公布されています。
改正案のポイントとなるのが、「要介護度を改善した自治体に交付金」という財政的インセンティブの導入です。
その背景となった重度化防止のモデルとなっているのが和光市です。
(画像は和光市のイメージキャラクターーの「わこうっち」です。いちょうの妖精だそうです)
和光市の介護サービス以外の地域支援事業は、次のようなサービスです。
介護予防事業の拠点施設となっている高齢者福祉センターの取り組み
1指定管理者制度により、公募により決定した株式会社と社会福祉協議会が運営しています。介護予防事業の拠点施設であり、介護サービスの卒業後の受け皿として機能しています。
2マシーントレーニング、運動教室、ヨガなどの運動やパソコン、英会話等の教養講座、ゲームなどかなりのメニューがあります。
3月曜から土曜までの週6日、9時から16時までオープンしています。1日に約100人の利用があります。
市町村特別給付の和光市高齢者地域送迎サービス費助成事業
1要支援者等は介護サービスによって自立度が上がっても、移動支援がないため、とじこもりがちになり、再び、自立度が低下する高齢者が多い。そのため要支援者等の自立支援のカギとなる移動支援について助成事業を実施しています。
2市が指定した事業者の送迎を利用して通院または保険福祉施設等に出かける場合の費用を給付していいます。
3要支援・要介護者には、介護保険法第62条に基づく条例を定めて、市町村特別給付として、一月40,500円を限度に送迎費用の9割を給付しています。また、二次予防事業対象者で市長が認めた人についても、地域支援事業で同様に助成を実施しています。(一月31,500円を限度に、費用の9割を助成)
<参考> 介護保険法 第62条【市町村特別給付】
「市町村は、要介護被保険者又は居宅要支援被保険者(以下「要介護被保険者等」という。)に対し、前二節の保険給付のほか、条例で定めるところにより、市町村特別給付を行うことができる。」
そのほか介護予防小規模多機能型居宅介護の取り組み、巡回バス、ゴミの個別収集など和光市は特徴的な取り組みを実施しています
(以上は「市町村介護予防強化推進業報告書-資源開発・地域づくり実例集」:厚生労働省から引用しています)
〝財政的インセンティブの導入〟への課題
〝財政的インセンティブの導入〟の先進自治体である和光市の取り組みを紹介してきましたが、反面、財政的インセンティブにも次の懸念があるそうです。
「財政的インセンティブの導入によって、市町村が数値目標を達成するために要介護認定の二次判定を厳しくし、例えば要介護1と2の境界に該当する人は原則として1にするといった恣意的な運用が行われる恐れもないとはいえない」(日経ヘルスケア4月号から)
「財政的インセンティブの導入」の記事はこちら(6/13)
「財政的インセンティブと要介護認定率など」の記事はこちら(6/15)
「インセンティブ導入の背景となった介護予防強化推進事業報告書」の記事はこちら(6/17)
「和光市の取り組み」の記事はこちら(6/20)
「和光市の徹底した自立支援の意識付けの記事はこちら(6/22)
月・水・金は次のとおり税務の記事を
月曜日は、「マイホームの税金の手引き」
水曜日は、「個人事業と会社で事業をした場合、税金はどう違う?」
金曜日は、「いざそのときに慌てないために相続税や相続に関する知識」
火・木・土曜日は、介護事業についての記事のうち、しばらくは介護保険法の改正にかかわる記事を紹介したいと思っています。
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