“配偶者居住権はメリットよりデメリットの方が大きい” ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[7]
資産税についての記事を紹介します。
“配偶者居住権は配偶者の死亡により権利が消滅することを利用する節税術としてのメリットより、デメリットの方が大きい”
を紹介します。
配偶者居住権とは(ざっくりと)
配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として,終身または一定期間,配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利です。
遺産分割や被相続人の遺言により、配偶者に「配偶者居住権」を取得させることをできるようにします。
配偶者居住権の創設趣旨は
たとえば、夫が再婚者で先妻との間にこどもがいるようなケースにメリットがあります
<参考>
→ 「所有権」と「居住権」を分けて、妻が自宅に住み続けられるというものです。先妻の子と後妻の間の分割協議に有効です。
次のような
「配偶者の死亡により権利が消滅することを利用する節税術」のスキームがあります
条件がそろえば第1次相続と第2次相続を合わせた相続税が減額できるというものです。
たとえば、夫の死亡(第1次相続)時に、妻が自宅の配偶者居住権と預貯金をすべて相続します。子どもは自宅の土地・建物の所有権を相続します。
その後、母親の死亡(第2次相続)時に、母親の財産を子どもが相続します。その際、配偶者居住権は母親死亡時に消滅するため相続対象になりません。
そのため、2次相続で子どもにかかる相続税が、配偶者居住権を使わなかったケースより、減額できるというスキームです。
<参考>
しかし、配偶者居住権には次のようなデメリットがあります。
①配偶者居住権は譲渡できません
ということは、配偶者居住権を所有する母親が、老人ホームに入所する資金を自宅売却の資金をあてようと思っても、配偶者居住権は譲渡できません。
さらに建物の所有者の承諾を得なければ、改築はできません。第3者に使用・収益させることもできません。
②配偶者居住権を放棄または合意解除する場合は贈与税が課税されます
さきほどと同じケースです。
加齢により母親が老人ホームに入居することなり、居住権を放棄または合意解除したりするケースが考えられます。
その場合は、妻から子どもに贈与があったとみなされて、子どもに贈与税が課税されます。
<参考>
慎重にデメリットとメリットを検討されることをおすすめします。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
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春の1日を元気にお過ごしください。
贈与や相続・譲渡など資産税
[1] 父親が息子に時価より低額で、土地を譲渡した場合の所得税・相続税の考え方
[2] 長男がすべての財産を相続するかわりに、次男に従来から所有していた長男の土地を引き渡した場合に譲渡所得が発生します
[3] 離婚により自宅を妻に残産分与しました。夫は譲渡所得の申告が必要になります
[4] 離婚により住宅ローン付きの自宅を、妻に財産分与しました。妻は住宅ローン控除をうけられますか?
[5] 離婚により住宅ローン付きのマンションを、夫が妻に残産分与しました。夫の税金はどうなりますか?
[6] 離婚により住宅ローン付きのマンションを、夫が妻に残産分与しました。妻の税金はどうなりますか?
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