井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.04.24.Fri | 税金(相続・贈与・譲渡)

「妻と離婚することになり、自宅を妻に残産分与しました。慰謝料として渡したとしても」譲渡所得の申告は必要になります ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[3]

 

資産税についての記事を紹介します。

 

不動産を分与(所有権移転)した場合には、その時の不動産の時価で譲渡が行われたことになります

 

したがって、その不動産の時価を譲渡価額として譲渡所得の計算を行い、申告する必要があります。

 

財産を受ける側と財産を渡す側の両方で、取扱いを考えていきます。

 

1離婚の際に財産を受ける方の課税について

 

離婚の際に支払われるものは、慰謝料、養育費、財産分与の3種類があります。

 

慰謝料とは

離婚について主として責任のある方が、他方に損害賠償責任として支払います。

 

養育費とは

 

双方の財産や収入の状況により、子を引き取って養育する親に対して、他方の親から子の養育のため支払います。

 

財産分与とは

 

離婚に際して、婚姻中に夫婦の努力によって形成された財産を清算することになります。

 

慰謝料、養育費、財産分与は、非課税の取扱いになります。

ただし、財産分与については、社会通念を超える場合などは課税される場合があります。

また、養育費については、必要な都度支払われたものは非課税とされますが、一括払いは原則として贈与税の課税対象と考えられています。注意してください。

 

2一方、財産を渡す方の課税については

慰謝料、養育費、財産分与は課税されません。

 

しかし、財産分与が土地・建物の場合は夫に課税されます

 

財産分与が土地や建物で行われたときは、夫が時価で売却したものとして、資産の譲渡があったものとされます。譲渡があったものとされる資産が譲渡所得の起因となる資産(土地や建物)ですので、譲渡所得の課税関係が成立してしまいます。

 

その際、3,000万円の特別控除の適用を検討します

 

マイホームの売却益からの3,000万円の特別控除(居住用財産の特別控除)の適用について、「離婚」によることが明らかである場合には、要件を満たしていれば、適用可能です。

 

次のように考えて特別控除が利用できます。

「たとえば、土地・建物の財産分与で、戸籍の除籍手続前の名義変更の場合、特殊関係者である配偶者に対する譲渡として、特別控除の適用が受けられないように考えられますが、その後、速やかに除籍する等離婚に伴う財産分与と認められれば、その譲渡は名義変更のときなされたのではなく、除籍した後、効力が発生したもの考えられます。」

(「平成29年版税務相談事例集」:大蔵財務協会から加筆引用)

 

<参考>

所得税基本通達

33-1の4  財産分与による資産の移転

「民法第768条《財産分与》の規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。

(注)財産分与による資産の移転は、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とる譲渡であり、贈与ではないから、法第59条第1項《みなし譲渡課税》の規定は適用されない。」

 

相続税法基本通達

9-8  婚姻の取消し又は離婚により財産の取得があった場合

「婚姻の取消し又は離婚による財産の分与によって取得した財産(省略)については、贈与により取得した財産とはならないのであるから留意する。ただし、その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合における当該過当である部分又は離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価額は、贈与によって取得した財産となるのであるから留意する。」

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

春の1日を元気にお過ごしください。

 

贈与や相続・譲渡など資産税

[1] 父親が息子に時価より低額で、土地を譲渡した場合の所得税・相続税の考え方

[2] 長男がすべての財産を相続するかわりに、次男に従来から所有していた長男の土地を引き渡した場合に譲渡所得が発生します

 

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ブログ記事は、投稿時点での税法等に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

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