井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.03.21.Sat | 税金(相続・贈与・譲渡)

配偶者居住権の相続税評価額計算のポイント(その3)「残存耐用年数 < 配偶者居住権の存続年数のケース」~ 相続法の改正で大きく変わります⑮

 

40年ぶりに相続法が改正されています。新たに創設された制度が「配偶者居住権」です

 

「配偶者居住権」という新たな権利ができたことにより、「建物の価額(A)」は配偶者の「配偶者居住権の価額(A1)」と所有者の「所有権部分の価額(A2)」に分かれます。

また、「土地の価額(B)」は、「配偶者の敷地利用権の価額(B1)」と所有者の「所有権部分の価額(B2)」に区分されることになります。

 

つぎのとおりです。

 

具体的な評価は次の計算式で計算します。

建物の価額(A)

 

配偶者居住権の価額(A1の評価)

建物の時価 - 建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×複利現価率

※ 建物の時価は固定資産税評価額です

 

建物所有権部分の価額(A2の評価)

建物の時価 – A1

 

土地の価額(B)

 

配偶者の敷地利用権の価額(B1の評価)

土地の時価 – 土地の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

 

土地所有権部分の価額(B2の評価)

土地の時価 – B2

 

具体例で評価してみます。2つのケースがあることがわかります

 

A 残存耐用年数 > 配偶者居住権の存続年数

B 残存耐用年数 < 配偶者居住権の存続年数

 

今回は「B」のケースを考えます

 

B 残存耐用年数 < 配偶者居住権の存続年数の場合

 

■相続開始 令和2年6月1日

■配偶者の年齢 70歳

■配偶者の平均余命 20年(厚生労働省の完全生命表)… 配偶者居住権の存続年数

■建物価額 1,000,000円(木造)

■建物の耐用年数22年×1.5=33年

■建物の築後年数23年

■建物の残存耐用年数 33年-23年=10年

■複利現価率 0.554(年利率3%)

■土地の価額20,000,000円

 

建物の価額(A)

 

配偶者居住権の価額(A1の評価)

建物の時価 - 建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×複利現価率

 

100万円-100万円×(10年-20年)/10年×0.554=1,000,000円

 

※残存耐用年数-存続年数を控除した年数がゼロ以下になる場合は「(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数」はゼロとなります。この場合は、配偶者居住権の価額は建物の価額と同額になります。

 

アンダーラインの部分は、配偶者居住権の消滅時の残存耐用年数をあらわしています。マイナスということは消滅時の建物の価額はゼロということです。

 

 

建物所有権部分の価額(A2の評価)

建物の時価 – A1

1,000,000円-1,000,000円=0円

 

土地の価額(B)

 

配偶者の敷地利用権の価額(B1の評価)

土地の時価 – 土地の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

 

2,000万円-2,000万円×0.554=8,920,000円

 

土地所有権部分の価額(B2の評価)

土地の時価 – B2

 

20,000,000円-8,920,000円=11,080,000円

 

配偶者居住権および土地建物を取得した者の相続財産評価額は次のとおりです

 

配偶者の相続財産評価額

A1+B1=1,000,000円+8,920,000円=9,920,000円

 

土地建物を取得した者の相続財産評価額

A2+B2=0円+11,080,000円=11,080,000円

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

春の1日を元気にお過ごしください。

 

 

相続法の改正で大きく変わります

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配偶者居住権の相続税評価額計算のポイント(その3)「残存耐用年数 > 配偶者居住権の存続年数のケース」

 

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争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。

「相続税をわかりやすく!」の記事は

http://www.y-itax.com/category/souzoku/

 

 

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