交通事故により加害者から「治療費」「慰謝料」「損害賠償金」を受け取ったときの所得税の取扱い ~ 確定申告で間違いやすい項目㊵
交通事故などにより、被害者として治療費、慰謝料、損害賠償金などを受け取ったときは
これらの損害賠償金などは「非課税」となります
心身に加えられた損害により支払を受ける慰謝料や損害賠償金
事故による負傷について受ける「治療費」や「慰謝料」、それに負傷して働けないことによる収益の補償をする「損害賠償金」などは非課税です。
収益補償であるから非課税ではないとすることは間違いです。
医療費控除を受ける場合に、受け取った治療費は次のように考えます
治療費として受け取った金額は、医療費を補てんする金額です。
医療費控除を受ける場合は、支払った医療費の金額から差し引くことになります。
ただし医療費 < 受け取った治療費の場合
しかし、その医療費を補てんし、なお余りがあっても他の医療費から差し引く必要はありません。
不法行為や突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金について
たとえば、物損で、事故による車両の破損について受ける損害賠償金などは、非課税です。
しかし、損害を受けた資産が事業用の資産の場合、課税上の取扱いは次のようになります
■商品などの棚卸資産
商品の配送中の事故で使いものにならなくなった商品について損害賠償金などを受け取った場合、 棚卸資産の損害に対する損害賠償金などは、収入金額に代わる性質を持つものであり、非課税とはならず、事業所得の収入金額となります。
■業務の収益補償として取得する損害賠償金など
たとえば、車両が店舗に飛び込んで損害を受けた場合で、その店舗の補修期間中に仮店舗を賃借するときの賃借料の補償として損害賠償金などを受け取った場合
この損害賠償金などは、必要経費に算入される金額を補てんするためのものです。非課税とはならず、事業所得の収入金額となります。
■事故により事業用の車両を廃車とする場合
車両の損害について損害賠償金などを受け取った場合は、車両の損害に対する損害賠償金などは非課税です。
ただし、車両について資産損失の金額を計算する場合は、損失額から損害賠償金などによって補てんされる部分の金額を差し引いて計算します。
<参考>
事故などにより受け取る損害賠償金などをまとめると次のようになります。複雑です。
(所得税法の受験時に、マイノートにとりまとめたものの一部です。)
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
春の1日を元気にお過ごしください。
確定申告で間違いやすい項目
① 妻が契約者になっている生命保険の保険料、生命保険料控除の対象となりますか?
② 事業を始めた個人が、青色事業専従者に給与を支払うこととなった時の手続き
③ 事業を始めた個人が、開業準備期間中に支出した費用(開業費)
④ 年末、年内に納品した分で未請求の売掛金の記帳を忘れずに【決算】
⑤ プライベート用と事業用の混ざった支出のうち、いくらが必要経費で落とせるのか?
⑥ 中古車を購入しプライベートで使っていたが、車を事業に使った(転用)場合の減価償却費の計算
⑦ パートやアルバイトなど。2か所以上から給与をもらっている方の確定申告
⑧ 令和元年10月から変更されている「住宅ローン控除」の控除期間
⑨ 単身児童扶養者とは?「令和2年分給与所得者の扶養控除等申告書」
⑩ 確定申告や年末調整で16歳未満の扶養親族を記載する理由とは
⑬ 副業で稼いだ結果、確定申告をしなかった場合(無申告)の加算税などのペナルティ
⑭ 個人事業主が事業を廃止した場合、消費税で注意が必要な3つのポイント
⑮ 「居住用財産譲渡の3,000万円控除」と「住宅ローン控除」の重複適用について
⑯ 前年の「住宅ローン控除」の適用をやめて、本年に「居住用財産譲渡の3,000万円控除」を適用することができます
⑰ 売却した上場株式の取得価額がわからない場合の「取得価額」の算定のしかた
⑱ 株式を売却したときの、総収入金額の収入すべき時期について
⑲ 確定申告で選択した「上場株式等の譲渡所得等」の課税方式は変更することはできません
⑳ 申告し忘れた過去の上場株式等の譲渡損失の申告について「更正の請求」により損失控除ができる場合
㉒ 申告していない上場株式等の譲渡損失がある場合、期限後の申告でも問題ありません
㉓ 上場株式等の譲渡損失が、繰越損失として控除できないケース
㉔ マンションに「住宅取得等資金贈与税非課税」を適用するには「引渡」が必要です
㉕ 確定申告で税金を取りもどす「還付申告」は過去5年までさかのぼれます
㉖ 契約締結日に対応して「住宅取得等資金の贈与税の非課税」の限度額は、変わります
㉗ 「住宅取得等資金の贈与税の非課税」は住宅の床面積の確認が必要です
㉘ マンションを売却した際、取得費がわからないとき売却価額の5%であきらめてはいけません
㉙ 確定申告書を提出しないといけない方が申告書を提出しないまま、死亡した場合
㉚ 障害者控除(控除額27万円)と特別障害者(控除額40万円)の誤りやすい点
㉛ 土地や建物を売った際の譲渡所得の金額の計算上、控除される譲渡費用の取扱い
㉝ 国民健康保険料はいくらになりますか?確定申告書を説明する際に質問がありました
㉞ マイホームが2つあります。軽減税率の特例(10%・15%)は使えますか?
㉟ 不動産所得が赤字のとき、他の所得と損益通算できないケース
㊱ 不動産所得が赤字のとき、他の所得と損益通算できない場合(土地と建物を一括して借入金で取得したケース)
㊲ 不動産所得が赤字のとき、他の所得と損益通算できない場合(土地と建物を一括して借入金で取得したケース:2年目以降の計算)
㊳ 不動産を売却した際に、売主が受け取った固定資産税の精算金は収入金額に含めます
㊴ 不動産所得が赤字のとき他の所得と損益通算できないケース(税抜経理している場合の消費税の取扱い)
災害を受けた個人が知っておきたい税金の負担が軽くなる仕組み
雑損控除
① 災害を受けた個人が知っておきたい税金の負担が軽くなる仕組み
③ 損失額が不明の場合には「損失額の合理的な計算方法」で算出します
⑤ 現状回復のための支出がある場合(翌年・翌々年に支出した災害関連支出)
⑥ 原状回復費用から資産の損失額を控除した残りが災害関連支出となります
⑦ 災害による控除対象となる資産とはどのような資産か?たとえば「現金」は?
⑧ 「家財の搬出費用」「ホテルの宿泊費用」は災害関連支出の対象となりますか?
⑨ 損害を受けたことにより支払い受ける保険金や損害賠償金は、損失から差し引きます
⑩ 災害年の翌年に災害関連支出をした場合には、「雑損失の金額の計算書(2年目以降)」を使用します
個人の確定申告について、次の記事を参考にしてください。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「介護事業」
・水曜日は「消費税」
・木曜日~日曜日はテーマ決めずに書いています。
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