「居住用財産譲渡の3,000万円控除」と「住宅ローン控除」の重複適用を回避するための修正申告書 ~ 確定申告で間違いやすい項目⑮
前年に、居住用財産譲渡の3,000万円控除の特例を受けて、本年に住宅ローン控除の適用を受けることはできません。
では、特例適用を撤回するための修正申告書を提出して、本年に住宅ローン控除を受けることはできますか?
次のようなケースを考えます。
■平成30年
平成30年に居住用財産(マイホーム)を譲渡しました。平成30年分の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(3,0000万円控除)の適用を受けています。
■令和元年
令和元年に新居を購入して居住しています。住宅ローン控除を適用する予定です。
「住宅ローン控除」と「居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例」は重複適用できないので、平成30年分の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例を適用しないとする修正申告を提出できますか?
居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例を適用しないこととする修正申告書を提出することはできません。
両方の特例の重複適用はできません
住宅借入金等特別控除の特例は、その居住の用に 供した日の属する年分、その前年分若しくは前々年分の所得税について居住用財産の譲渡所得の特例の適用を受けている場合には適用できません。
重複をやめようとする修正申告書は提出できません
「居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例」を適用した平成30年分の確定申告書は、適法な申告書です。
国税通則法第19条第1項各号に掲げる修正申告書の提出をすることができる事由に該当しません。
居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例を適用しないこととする修正申告書を提出することはできません。
したがって、平成 30 年分の修正申告書を提出して居住用財産の譲渡所得の特例の適用を撤回したうえで、令和元年分の確定申告で住宅借入金等特別控除を適用することはできません。
<参考>
国税通則法第19条 修正申告
納税申告書を提出した者(略)は、次の各号のいずれかに該当する場合には、(略)その申告に係る課税標準等または税額等を修正する納税申告書を税務署長に提出することができる。
一 先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に不足額があるとき。
二 先の納税申告書に記載した純損失等の金額が過大であるとき。
三 先の納税申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過大であるとき。
四 先の納税申告書に当該申告書の提出により納付すべき税額を記載しなかつた場合において、その納付すべき税額があるとき。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
冬の1日を元気にお過ごしください。
確定申告で間違いやすい項目
① 妻が契約者になっている生命保険の保険料、生命保険料控除の対象となりますか?
② 事業を始めた個人が、青色事業専従者に給与を支払うこととなった時の手続き
③ 事業を始めた個人が、開業準備期間中に支出した費用(開業費)
④ 年末、年内に納品した分で未請求の売掛金の記帳を忘れずに【決算】
⑤ プライベート用と事業用の混ざった支出のうち、いくらが必要経費で落とせるのか?
⑥ 中古車を購入しプライベートで使っていたが、車を事業に使った(転用)場合の減価償却費の計算
⑦ パートやアルバイトなど。2か所以上から給与をもらっている方の確定申告
⑧ 令和元年10月から変更されている「住宅ローン控除」の控除期間
⑨ 単身児童扶養者とは?「令和2年分給与所得者の扶養控除等申告書」
⑩ 確定申告や年末調整で16歳未満の扶養親族を記載する理由とは
⑬ 副業で稼いだ結果、確定申告をしなかった場合(無申告)の加算税などのペナルティ
⑭ 個人事業主が事業を廃止した場合、消費税で注意が必要な3つのポイント
災害を受けた個人が知っておきたい税金の負担が軽くなる仕組み
雑損控除
① 災害を受けた個人が知っておきたい税金の負担が軽くなる仕組み
③ 損失額が不明の場合には「損失額の合理的な計算方法」で算出します
⑤ 現状回復のための支出がある場合(翌年・翌々年に支出した災害関連支出)
⑥ 原状回復費用から資産の損失額を控除した残りが災害関連支出となります
⑦ 災害による控除対象となる資産とはどのような資産か?たとえば「現金」は?
⑧ 「家財の搬出費用」「ホテルの宿泊費用」は災害関連支出の対象となりますか?
⑨ 損害を受けたことにより支払い受ける保険金や損害賠償金は、損失から差し引きます
⑩ 災害年の翌年に災害関連支出をした場合には、「雑損失の金額の計算書(2年目以降)」を使用します
個人の確定申告について、次の記事を参考にしてください。
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