貸借対照表の資産の価額は、資産価値の実態を反映していますか? ~ 中小企業の「決算書」の読み方⑮
経営者にとって必要な“会計”を紹介しています。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方を、経営者の方が会社の数字をざっくり理解して、融資や経営に活かせる会計の考え方を紹介していきます。
通常は中小企業の場合の決算は
税法基準で決算を行っています。法人税の世界では、土地などの資産については、買ってきた時の価格で計上します。そして、そのまま取得時の価格で計上し続けます。
(これを、取得原価主義といいます。)
つまり土地や株式などは資産を取得したときの価格で計上されたっきりです
株価や地価が右上がりに上昇しているときは、資産の部は記載してある以上の「含み益」を持っています。逆に下がるときには「含み損」が隠されていることになります。
デフレが続く現在の状況では、「含み損」に留意する必要があります。
「含み益」は土地や株式を売却しなければ現実の利益とはなりません
また、含み損のある資産を持っている間は、問題が顕在化しませんが、いざ売却したときは実損が発生します。
経営においては貸借対照表の実態(「実態貸借対照表」といいます)を意識する必要があります
一方、銀行も提出された決算書をより実態に近いものに修正して、融資判断の参考資料にしています。
たとえば
■売掛金に回収見込のないものが3百万円含まれていた。
→ 売掛金 ▲3百万円(評価減)
■貸付金に関係会社に貸し付けたもので回収不能のものが7百万円含まれていた。
→ 短期貸貸付金 ▲7百万円(評価減)
■有価証券の中に株価の低迷が長期間継続しているものがあり、その評価損は20百万円。
→ 有価証券 ▲20百万円(評価減)
■購入した土地に10百万円の含み損が発生している。
→ 土地 ▲10百万円(評価減)
こうした場合、自己資本が20百万円あったとしても
自己資本20百万円-資産の評価減(①~④)40百万円=▲20百万円となります。
そうなると、会社の実態は▲20百万円の債務超過になっていることになります。
極端な事例をあげましたが、こうした実態貸借対照表の数字を把握して、経営や融資依頼に考えることが必要になります
《参照記事》
→ 貸借対照表上の土地の価額は、資産価値の実態を反映していますか?
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
秋の1日を元気にお過ごしください。
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「中小企業」決算書の読み方入門
4 資金繰り表から見る、設備資金として借り入れることができる妥当な金額とは
6 決算書を受け取ったら、貸借対照表の資産の中身をチェックします
9 いつまで経っても回収されない売掛金。キャッシュフローを圧迫します
10 売掛金とは、売り上げたもののまだお金をもらっていない売上です
14 ひとくちに赤字といっても当期赤字や累積赤字、債務超過があります
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
3 売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう。
4 売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります。
5 会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意。
9 本来の事業でどれだけ稼げているか?がわかるのが営業利益。
12 PLの中の5つの利益のうち、4つめの利益が税引前当期純利益
13 5つめの利益が当期純利益。会社が1年間で得た最終的な利益です。
14 貸借対照表の見方~お金の動かしやすいものから、上から順にならびます。
15 流動資産の3つの区分~資産でないものが含まれています。
19 販管費のうちの人件費。ポイントになるのは「役員報酬」です
21 貸付金のうち、中小企業で最も多いのは社長への役員貸付金
22 開業費などの繰延資産の考え方。繰延費用と考える方がわかりやすい。
23 売掛金の回収サイトのチェックポイント。介護事業の回転月数は約2.5月。
25 在庫の過大計上は資産が増えるわけですから「利益」が増えます。
26 高額な仮払金・立替金などは決算書に計上してはいけません
27 債務の計上はもれてしまいます。計上もれを防ぐための方法
32 創業者の9割は決算書を見ていない。はじめての決算書6つのチェックポイント
37 月次試算表のチェック方法① 現預金の残高からチェックします
38 月次試算表のチェック方法② 次に利益剰余金と売掛金
39 月次試算表のチェック方法③ 棚卸資産と貸付金
40 月次試算表のチェック方法④ 負債科目の買掛金と未払金
41 月次試算表のチェック方法⑤ キャッシュフローをつかむ
42 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書のチェックポイント
43 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書「売上」のチェックポイント
44 借入金の返済額のうち元金は、損益計算書に計上されません!
48 事業の変化を見るには、数字を見る以外にありません。年計表を活用します
53 粗利率とは何ですか?
銀行はいかに企業を評価するか?評価を上げて資金調達を有利にする方法
③ 金融機関が取引先の将来性を判断する際のポイント「技術力」
⑤ 金融機関が取引先を判断する際のポイント「代表者個人の信用力」
⑧ 今後の再建可能性を銀行が判断する際のポイント「本業の収益力」
⑩ 信用保証協会の保証により融資保全されている場合は条件変更が行いやすい
⑫ 経営改善計画の策定とその具体的な実行があれば、不良債権にはなりません
⑬ 大幅な赤字や債務超過でも、キャッシュフローの状況で判断します
⑯ 債務超過でも商品実績や新規販売経路の開拓に見込がある中小企業は評価されます
⑰ 経営改善計画を策定していない場合でも、経営改善に向けた取り組みが評価されます
⑱ 外部要因にともなう一時的な影響による計画未達に対する評価とは
⑳ 貸出条件の変更を行っても不良債権にならない場合となる場合
㉑ 担保・保証で保全されている場合には、不良債権にはなりません
土曜日は「会計」を紹介しています。
ブログ記事はhttp://www.y-itax.com/category/keiri/
会計超理解ハンドブック(No1~No17)
② 財務三表とは?
⑨ 減価償却費って何ですか?
⑪ 決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイントは純資産です。
⑬ C/F計算書のチェックポイントは「営業キャッシュフロー」です。
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・火曜日は「平成31年度介護報酬改定の重要事項」
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