土地所有者が法人で借地人が個人のケース ~ 「土地の無償返還に関する届出書」とは何ですか⑦
木曜日は、法人税などの節税の記事を紹介しています。
同族関係者間を前提として地代課税の考え方を検討します。
①土地所有者が個人(地主)で、借地人が法人のケース
②土地所有者が法人地主で、借地人が個人のケース
前回は①のケースを考えました。
何らの課税関係も生じないこととなります。
→ 土地賃貸借の同族関係者間(個人×法人)の地代課税の考え方
今回は②のケースを検討します。
つまり「土地所有者が法人地主で、借地人が個人」のケースでは
法人が所有する土地を他人に賃貸して、建物などを建てさせたときには、借地権が設定されたことになります。
したがって、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときは、権利金の認定課税が行われます。
ただし、次のいずれかに該当する場合には、権利金の認定課税は行われません
「A」→ その土地の価額からみて、相当の地代を収受している場合
「B」→ その借地権の設定等に係る契約書において、将来借地人がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、「土地の無償返還に関する届出書」を借地人と連名で、税務署長に提出している場合
「A」の場合、「相当の地代」とは次の金額をいいます
相当の地代の額は、原則として、その土地の更地価額のおおむね年6パーセント程度の金額です。
土地の更地価額とは、その土地の時価をいいますが、課税上弊害がない限り次の金額によることも認められます。
①その土地の近くにある類似した土地の公示価格などから合理的に計算した価額
②その土地の相続税評価額またはその評価額の過去3年間の平均額
「B」の場合、実際に収受している地代が相当の地代より少ないときは
その差額に相当する金額を、法人が借地人に贈与したものとして取り扱います。
贈与したものとして取り扱うとは次のような意味です。
土地所有者:法人、借地人:個人(社長)の場合
法人側では、次の仕訳が生じます。
(借)(役員給与)○○(差額分) (貸)(受取地代)○○(差額分)
一方、個人側では、差額分は社長の給与所得に含まれるとともに、会社に源泉徴収義務が発生します。行ってはいけない事例です。
なお、相当の地代はおおむね3年以下の期間ごとに見直しを行う必要があります。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
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「土地の無償返還に関する届出書」とは何ですか?
② 土地の無償返還に関する届出書とは、借地権の認定課税を避ける方法です
③「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の評価
④ 土地の無償返還届出書が提出されている場合の課税関係のまとめ
⑤「土地の無償返還に関する届出書」を提出することができない場合
⑥ 土地賃貸借の同族関係者間(個人×法人)の地代課税の考え方
同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。
http://www.y-itax.com/category/houjin/
あてはまる事例を参考にしてくださいね。
土地貸借の税務ルール
・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)
・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)
・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)
・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)
・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)
土地売買の税務ルール
・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)
・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)
・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)
・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)
・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)
・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)
建物貸借の税務ルール
・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)
・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)
・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)
・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)
金銭貸借の税務ルール
・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)
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・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)
・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)
・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)
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