これからの長期平準定期保険の取扱いおよび改正後で全額損金算入のもの ~ 知っておきたい法人節税策の基礎知識㊵
木曜日は、法人税などの節税の記事を紹介しています。
今回は
長期平準定期保険は、そもそも何が問題だったのでしょうか?
です。
話題となっていた長期平準定期保険は
「掛捨て(全額損金)にもかかわらず、多額の返戻金を受け取る」内容です。
法人税の個別通達のルールに該当しないように設計されていますので、ある一部の生命保険会社では,支払保険料の全額損金算入をセールスポイントの一つとして販売していたようです。
具体的には、最高解約返戻率が8割超に設定されていました。もし、中途解約すれば払込保険料の多くを解約返戻金として受け取ることができます。
その解約返戻金は益金として課税されますので、長期の期間を通じてはチャラ(相殺)になります。
また、節税スキームとしては、その解約返戻金を受け取る事業年度に役員等の退職金にぶつけて、収支をチャラ(相殺)にします。合理的な方法だと思います
しかし、「掛捨ての定期保険」といいながら、「多額の解約返戻金の受取が可能」というような販売促進や従前の通達発遣後の長寿命化などの環境変化を受けて、ルール(通達)の改正となりました。改正は6月予定です。
そもそも長期平準定期保険とは
定期保険の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれている保険です。
つまり、保険期間の前半の期間における支払保険料に、後半の期間の保険料に充当される部分(前払保険料)が多額に含まれています。貯蓄性が高い保険です。
改正後に対象となる長期平準定期保険等とは
法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含みます。)を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険または第三分野保険で最高解約返戻率が50%を超えるものに加入して、その保険料を支払った場合には、課税所得の期間計算を適正なものとするため、その支払った保険料の額については、最高解約返戻率に応じて、その取扱いを変更します。
公表された新設の通達案に取扱いがくわしいです
「定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い」(法人税基本通達9-3-5の2)
改正後、定期保険で全額損金算入のものがあります。次の3つです
■保険期間が3年未満の定期保険
■最高解約返戻率が50%以下の定期保険
■①および②のどちらも満たす定期保険
①最高解約返戻率が70%以下
②年換算保険料相当額(保険料総額÷保険期間)が20万円以下
従前に契約された長期平準定期保険には遡及適用がありません。(当然の対応だと思います)
この生命保険のスキームは「期ずれ」を利用したものですので、本質的な節税ではないと思います。
こうした保険は会社の業況に応じて合理的に利用すれば良いと思っています。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
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木曜日は「知っておきたい法人節税策の基礎知識」を載せています
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http://www.y-itax.com/category/houjin/
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・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)
・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)
・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)
・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)
土地売買の税務ルール
・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)
・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)
・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)
・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)
・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)
・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)
建物貸借の税務ルール
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金銭貸借の税務ルール
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