家族の支援・資力は、企業の返済能力に含まれます ~ 経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方⑮
金融庁作成の中小企業融資編を参考に、中小企業が銀行から高く評価されるためのヒントを紹介します。
銀行の視点を理解することにより、「銀行はいかに企業を評価するのか?」「銀行からの評価を上げて資金調達を有利にする方法」を知っておくことをおすすめします。
今回のポイントは
代表者の家族などの支援者が、支援の意思があり、資力がある場合には
それらを企業の返済能力に加えて、銀行は企業の評価を行います
たとえば、パン製造販売業者Q社
■代表者夫婦で経営するパン屋で、退職金をもとに自宅の一部を店舗に改造しています。
■開業後約2年は黒字で推移しました。
■しかし急速に顧客が減り、現在は近所の固定客に限られています。
■現在は大幅な赤字経営となっています。
おもな財務状況
①開業資金(元利20万円/月の返済)の返済は、昨年から滞りがちです。
②最近では3か月遅れて入金されています。
③代表者は銀行に返済条件緩和の申出をしました。その際、代表者の長男が遅延金を一括して支払いました。
現況と今後の状況
→ 銀行は返済や最終の回収に問題が生じた場合には、長男自身が支払う旨の申出を受けたことから、返済額の軽減(元利10万円/月、 最終期日に残額一括返済)に応じています。
→ 長男は35歳の会社員で、年収は9百万円程度です。
→ 長男は債務者の保証人となっていません。
評価のポイント
金融機関は、経営に直接関連しない者の支援を検討する際には次の点を確認します
■支援者の意思、代表者と支援者との関係と親密度
■支援者の資力と残債権の金額
■支援者自身の個人収支、借入金や第三者への保証債務の有無など
これらのことに問題がなければ、経営破組に陥る可能性は高くない貸出先と評価されます。
しかし、将来にわたって問題ないとまではいえません。
本業の収益力向上によるキャッシュフローの改善が必要です。
(出所:金融庁「知ってナットク!事例集」POINT4)
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
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春の1日を朗らかにお過ごしくださいね。
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銀行はいかに企業を評価するか?評価を上げて資金調達を有利にする方法
③ 金融機関が取引先の将来性を判断する際のポイント「技術力」
⑤ 金融機関が取引先を判断する際のポイント「代表者個人の信用力」
⑧ 今後の再建可能性を銀行が判断する際のポイント「本業の収益力」
⑩ 信用保証協会の保証により融資保全されている場合は条件変更が行いやすい
⑫ 経営改善計画の策定とその具体的な実行があれば、不良債権にはなりません
⑬ 大幅な赤字や債務超過でも、キャッシュフローの状況で判断します
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
③ 売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう。
④ 売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります。
⑤ 会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意。
⑨ 本来の事業でどれだけ稼げているか?がわかるのが営業利益。
⑫ PLの中の5つの利益のうち、4つめの利益が税引前当期純利益
⑬ 5つめの利益が当期純利益。会社が1年間で得た最終的な利益です。
⑭ 貸借対照表の見方~お金の動かしやすいものから、上から順にならびます。
⑲ 販管費のうちの人件費。ポイントになるのは「役員報酬」です
㉒ 開業費などの繰延資産の考え方。繰延費用と考える方がわかりやすい。
㉓ 売掛金の回収サイトのチェックポイント。介護事業の回転月数は約2.5月。
㉕ 在庫の過大計上は資産が増えるわけですから「利益」が増えます。
㉜ 創業者の9割は決算書を見ていない。はじめての決算書6つのチェックポイント
㊲ 月次試算表のチェック方法① 現預金の残高からチェックします
㊳ 月次試算表のチェック方法② 次に利益剰余金と売掛金
㊴ 月次試算表のチェック方法③ 棚卸資産と貸付金
㊵ 月次試算表のチェック方法④ 負債科目の買掛金と未払金
㊶ 月次試算表のチェック方法⑤ キャッシュフローをつかむ
㊷ 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書のチェックポイント
㊸ 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書「売上」のチェックポイント
㊹ 借入金の返済額のうち元金は、損益計算書に計上されません!
土曜日は「会計」を紹介しています。
ブログ記事はhttp://www.y-itax.com/category/keiri/
会計超理解ハンドブック(No1~No17)
② 財務三表とは?
⑨ 減価償却費って何ですか?
⑪ 決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイントは純資産です。
⑬ C/F計算書のチェックポイントは「営業キャッシュフロー」です。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
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・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
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