多額の代表者報酬で会社が赤字となっているケース ~ 経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方⑭
金融庁作成の中小企業融資編を参考に、中小企業が銀行から高く評価されるためのヒントを紹介します。
銀行の視点を理解することにより、銀行はいかに企業を評価するのか?
銀行からの評価を上げて資金調達を有利にする方法を、知っておくことをおすすめします。
今回のポイントは
経営者と企業を一体として判断します。代表者からの借入金は資本とみなすことができます
つまり
■代表者や経営者と会社は、一体として判断されます。
■経営者への報酬や家賃の支払等により赤字になっている一方で、会社の借入金の返済資金を代表者が出して いる場合があります。
たとえば広告代理業者P社
■P社は地元スーパー等を主な顧客とした広告代理業者です。
■借入残高1億円 です。
■景気低迷等の影響から売上は横ばいです。
おもな財務状況
①2期連続赤字を計上しています。
②繰越欠損金3千万円を抱えています。
②赤字の原因は、代表者が多額の役員報酬を受け取っていることです。
現況と今後の状況
→ 貸付先の銀行は、代表者報酬の削減を強く指導しています。
→ 代表者が返済資金をP社に貸し付けています。P社に延滞や条件変更の発生はありません。
評価のポイント
■赤字の原因が多額の代表者の役員報酬にあることが確認できます。
一方、返済が代表者個人の資産から賄われています。今後も、P社からの返済は正常に行われていく可能性が高いです。
■銀行は、代表者の確定申告書、他の金融機関、ローン会社の抵当権の設定状況等に基づき、代表者個人の収支状況、借入金、第三社への保証債務の有無を確認しています。
■それらに問題がなければ、代表者からの借入金は資本とみなすことができます。
(出所:金融庁「知ってナットク!事例集」POINT2)
Every day is a new day!
春の1日を元気にお過ごしください。
創業者には、事業を着実に成長させるために、決算書の会計データを計器盤として利用することをおすすめしています。次のようなサービスを提供しています。
▶ 創業起業サポート 「創業者応援クラウド会計サービス」と「顧問相談クラウドサービス」
お伺いして、会計処理や税務の相談や提案などさせていただくサポートサービスを提供しています。
銀行はいかに企業を評価するか?評価を上げて資金調達を有利にする方法
③ 金融機関が取引先の将来性を判断する際のポイント「技術力」
⑤ 金融機関が取引先を判断する際のポイント「代表者個人の信用力」
⑧ 今後の再建可能性を銀行が判断する際のポイント「本業の収益力」
⑩ 信用保証協会の保証により融資保全されている場合は条件変更が行いやすい
⑫ 経営改善計画の策定とその具体的な実行があれば、不良債権にはなりません
⑬ 大幅な赤字や債務超過でも、キャッシュフローの状況で判断します
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
③ 売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう。
④ 売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります。
⑤ 会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意。
⑨ 本来の事業でどれだけ稼げているか?がわかるのが営業利益。
⑫ PLの中の5つの利益のうち、4つめの利益が税引前当期純利益
⑬ 5つめの利益が当期純利益。会社が1年間で得た最終的な利益です。
⑭ 貸借対照表の見方~お金の動かしやすいものから、上から順にならびます。
⑲ 販管費のうちの人件費。ポイントになるのは「役員報酬」です
㉒ 開業費などの繰延資産の考え方。繰延費用と考える方がわかりやすい。
㉓ 売掛金の回収サイトのチェックポイント。介護事業の回転月数は約2.5月。
㉕ 在庫の過大計上は資産が増えるわけですから「利益」が増えます。
㉜ 創業者の9割は決算書を見ていない。はじめての決算書6つのチェックポイント
㊲ 月次試算表のチェック方法① 現預金の残高からチェックします
㊳ 月次試算表のチェック方法② 次に利益剰余金と売掛金
㊴ 月次試算表のチェック方法③ 棚卸資産と貸付金
㊵ 月次試算表のチェック方法④ 負債科目の買掛金と未払金
㊶ 月次試算表のチェック方法⑤ キャッシュフローをつかむ
㊷ 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書のチェックポイント
㊸ 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書「売上」のチェックポイント
㊹ 借入金の返済額のうち元金は、損益計算書に計上されません!
土曜日は「会計」を紹介しています。
ブログ記事はhttp://www.y-itax.com/category/keiri/
会計超理解ハンドブック(No1~No17)
② 財務三表とは?
⑨ 減価償却費って何ですか?
⑪ 決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイントは純資産です。
⑬ C/F計算書のチェックポイントは「営業キャッシュフロー」です。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」
免責
ブログ記事は、投稿時点での税法等に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。