今後の再建可能性を銀行が判断する際のポイント「本業の収益力」 ~ 経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方⑧
金融庁作成の中小企業融資編を参考に、中小企業が銀行から高く評価されるためのヒントを紹介します。
「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」は、銀行が中小企業に融資を行うにあたって、企業をどう評価するのか?
そのポイントを分かりやすく解説しています。
銀行の視点を理解することにより、銀行はいかに企業を評価するのか?
銀行からの評価を上げて資金調達を有利にする方法を理解することをおすすめします。
今回のポイントは
銀行の支援の意思と企業の再建可能性において、重要なのは「本業における収益力」です
ようするに
業況不振、財テク失敗など大幅の債務超過や元本の延滞状態に陥っているケースです。
しかし、経営難の状態でも、本業における収益力の見通しがあれば、経営再建の可能性が高いと判断されます。
たとえば、地場の土木建設業者H社の事例を見ますと
■官庁工事主体(約70%)に取り組む地場の土木建設業者。借入残高2,000百万円。
■公共工事の低迷により、売上は前期比横ばいの状態です
■株式投資の失敗による金利負担が発生しています。
■毎期わずかな黒字にとどまっています。本業では一定の収益(3百万円)が出ています。
おもな財務状況
①株式の含み損を計上すると実質債務超過額は多額(800百万円)のものとなっています。
②銀行からの借入金は、金利のみの支払で期日一括返済を繰り返しています。元本返済猶予状態です。
現況と今後の状況
→ 株価の好転を期待することなく、株式等の売却により借入金を返済する予定です。
→ 経営再建については、現行の手持ち工事の状況や過去の実績に照らした今後の受注見込等に基づき、今後の収支見込を把握します。「本業における収益力」の見通しを確認します。
評価のポイント
今後のH社の本業による収益見込や資産等を総合的に勘案して、経営改善が見通せるという評価があれば、経営再建の可能性が高いと銀行は判断します。
つまり、「本業の収益力」を踏まえて、経営破綻に陥る可能性は高くない会社と評価されます。
(出所:金融庁「知ってナットク!」)
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
春の1日を元気にお過ごしください。
創業者には、事業を着実に成長させるために、決算書の会計データを計器盤として利用することをおすすめしています。次のようなサービスを提供しています。
▶ 創業起業サポート 「創業者応援クラウド会計サービス」と「顧問相談クラウドサービス」
お伺いして、会計処理や税務の相談や提案などさせていただくサポートサービスを提供しています。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
銀行はいかに企業を評価するか?評価を上げて資金調達を有利にする方法
③ 金融機関が取引先の将来性を判断する際のポイント「技術力」
⑤ 金融機関が取引先を判断する際のポイント「代表者個人の信用力」
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
③ 売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう。
④ 売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります。
⑤ 会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意。
⑨ 本来の事業でどれだけ稼げているか?がわかるのが営業利益。
⑫ PLの中の5つの利益のうち、4つめの利益が税引前当期純利益
⑬ 5つめの利益が当期純利益。会社が1年間で得た最終的な利益です。
⑭ 貸借対照表の見方~お金の動かしやすいものから、上から順にならびます。
⑲ 販管費のうちの人件費。ポイントになるのは「役員報酬」です
㉒ 開業費などの繰延資産の考え方。繰延費用と考える方がわかりやすい。
㉓ 売掛金の回収サイトのチェックポイント。介護事業の回転月数は約2.5月。
㉕ 在庫の過大計上は資産が増えるわけですから「利益」が増えます。
㉜ 創業者の9割は決算書を見ていない。はじめての決算書6つのチェックポイント
㊲ 月次試算表のチェック方法① 現預金の残高からチェックします
㊳ 月次試算表のチェック方法② 次に利益剰余金と売掛金
㊴ 月次試算表のチェック方法③ 棚卸資産と貸付金
㊵ 月次試算表のチェック方法④ 負債科目の買掛金と未払金
㊶ 月次試算表のチェック方法⑤ キャッシュフローをつかむ
㊷ 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書のチェックポイント
㊸ 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書「売上」のチェックポイント
㊹ 借入金の返済額のうち元金は、損益計算書に計上されません!
土曜日は「会計」を紹介しています。
ブログ記事はhttp://www.y-itax.com/category/keiri/
会計超理解ハンドブック(No1~No17)
② 財務三表とは?
⑨ 減価償却費って何ですか?
⑪ 決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイントは純資産です。
⑬ C/F計算書のチェックポイントは「営業キャッシュフロー」です。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」
免責
ブログ記事は、投稿時点での税法等に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。