創立費と開業費などの繰延資産の任意償却~知っておきたい法人節税策の基礎知識⑦【創業者向け】
木曜日は、創業者対象に法人の節税策をわかりやすく紹介しています。
繰延資産(くりのべしさん)とは、会社が支出する費用のうち支出の効果が1年におよぶもの(固定資産や前払費用を除く)をいいます。
創立費や開業費は「繰延資産」に該当します。法人の設立、設立後から事業開始までに必ず発生する費用です
「創立費」とは、会社設立にかかった費用です
司法書士に支払った報酬など法人の設立のために支出する費用で、その法人が負担すべきものです。
たとえば
・定款その他諸規則の作成費用
・司法書士に支払った報酬
・設立登記の登録免許税
・発起人への報酬 などです
「開業費」とは
法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいいます。
・取引先との打ち合わせ費用
・印鑑や名刺の作成費用
・チラシなどの広告宣伝費
・HP制作費
法人の場合は、営業活動に経常的にかかる費用などの土地建物の賃借料、開業前の水道光熱費や賃借料などの費用は開業費に含まれません。「開業準備のために特別に支出する」というところに注意します。
こうした「繰延資産」の償却は、その支出の効果の及ぶ期間で償却するのが原則です
わかりやすい事例でいうと、お店を賃貸する際に支払う権利金などがあります。これも繰延資産になります。
たとえば、2年間の賃貸契約で36万円の権利金を支払った場合には、支払時に36万円の繰延資産を計上し、毎月1.5万円ずつ償却していきます。
創立費や開発費は任意償却できます
支出の効果が及ぶ期間で償却するのが原則ですが、例外があります
創立費や開発費は、例外的に法人の任意の期間で償却できます。どういうことがいいますと、金額の大小とは無関係に、支出した事業年度に即時償却することが可能です。
つまり、早いタイミングで損金処理できるということです。
(逆も可能です。利益の額を見ながら償却費として損金処理する金額を任意に選択することができます。)
しかし、総合的に考えると、早期償却をおすすめします。繰延資産といっていますが、実質的には繰延費用です。はやく費用化する方がメリットが大きいです。
Every day is a new day!
秋の1日を元気にお過ごしくださいね。
木曜日は
「知っておきたい法人節税策の基礎知識【創業者向け】」を載せています。
同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。
http://www.y-itax.com/category/houjin/
あてはまる事例を参考にしてくださいね。
土地貸借の税務ルール
・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)
・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)
・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)
・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)
・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)
土地売買の税務ルール
・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)
・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)
・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)
・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)
・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)
・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)
建物貸借の税務ルール
・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)
・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)
・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)
・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)
金銭貸借の税務ルール
・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)
・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)
・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)
・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)
・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識【創業者向け】」
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・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」
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