親の土地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと(親の土地を無償で使う場合)~贈与税をわかりやすく⑬
「贈与税をわかりやすく」の13回目。
親の土地に子どもが家を建てて無償で使う場合
親の土地に子どもが家を建てるときは、親子ですので、通常は権利金や地代のやりとりはなく、無償で使います。
地代や権利金を支払うことなく無償で土地を借りることを「使用貸借(しようたいしゃく)」といいます。
親の土地を使用貸借して子供が家を建てた場合、子供が親から借地権相当額の贈与を受けたことになるのではないか?と心配されることがあります。
贈与税の課税対象にはなりません
使用貸借による土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われています。この場合、子供が借地権相当額の贈与を受けたとして、贈与税が課税されることはありません。
地代を支払わなければ税務署から指摘を受けるというのは誤解です。個人間では土地を無償で借りても、贈与税の問題は生じません。
親がなくなって子どもが土地を相続する場合に相続税の対象となる際に注意します
使用貸借されている土地は、将来親から子供が相続する時に相続税の対象となります。相続税の計算のときのこの土地の価額は、他の人に賃貸している土地ではなく自分が使っている土地として評価されます。
つまり、貸宅地としての評価額でなく自用地としての評価額になります。
言い換えますと、土地の相続税評価額は借地権などを差し引かず、更地と同じ状態で相続税がかかります。
では「親に地代を支払っている場合」は
あまりないケースだと思いますが、親に対して、通常の相場と同じ地代を支払う場合はどうでしょうか?
もし、権利金を支払う慣行がある地域であれば、権利金に相当する金額が贈与されたとみなされます。つまり、権利金(借地権)に相当する部分が贈与税の課税対象となります。
この場合に、贈与税が課税されないようにするには、権利金に対応する部分の地代を含めて「相当地代」として支払う必要があります。
こうした親に地代や権利金を払うケースの方がまれだと思いますが、こちらのケースの方が、贈与税や相続税では注意が必要になってきます。
専門家の相談されることをおすすめします。
一方、さきほどの親の土地を無償で借りて子が家を建てる場合の方が、税務上の問題はあまり生じません。
子どもの方で、土地の固定資産税程度は負担するというケースもあると思います
使用貸借でも、土地の固定資産税相当額程度の支払いであれば使用貸借の範囲として認められるので、土地の固定資産税程度の金額を子供が自分で負担しても贈与税はかかりません。
親子間の土地の貸し借りは、貸し借りの前に、贈与税や将来の相続税のこともありますので、知り合いの専門家に相談をされる方が安心だと思います。
Every day is a new day!
夏の1日を元気にお過ごしください。
贈与税をわかりやすく
① 贈与税がかかる場合~親子間、夫婦間でも贈与税はかかります。
③ 贈与する前にいったいどれくらいの贈与税がかかるのか知っておく必要があります。
④ 相続時精算課税は相続税のかからない親の場合にはベストな贈与です。
⑤ 共働きの夫婦が住宅購入した場合、購入資金の負担割合で所有権登記をして下さい。
⑥ 離婚して財産をもらったとき、贈与税がかかる場合があります。
⑧ 贈与税がかかる生命保険金、もらったつもりがないのにかかる贈与税。
⑨ 親族間で低額で土地を譲り受けたとき、贈与税がかかります。
⑪ 借金付きの贈与は、やってはいけないし、もらってもいけません。
⑫ 贈与税の申告と納付はどうやるの?払うのは誰?いつ払うの?
贈与税で誤りやすい事例
① 自宅の贈与を受け、その後離婚。特例の適用は受けられますか?
② 父親の土地に、子供の私が自宅を建てて住みます。問題はありますか?
④ 父親が借地している土地の底地を、息子の私が買い取りました。
毎年こどもや孫に110万円を贈与するときに、気をつけておきたいこと
⑦ 贈与契約書が必要です。
⑪ 贈与税の申告は必要ありませんが、トラブルを生じさせない取扱いとして。
⑫ 親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合~住宅ローン控除は使えませんか?
贈与税を中心とした「マイホームの税金」に関するブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kojin/myhome/
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火・木曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」
免責
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