「ADL(日常生活動作)維持等加算」の算定ポイント。平成31年4月から算定する場合は、7月までの届け出が必要~平成30年度介護報酬改定 通所介護①
介護報酬改定の重要な改定事項を、カテゴリー別にご紹介しています。
通所介護の1回目です。
この加算は3-4時間など機能訓練特化型の短時間サービス中心の利用者には算定できません
算定要件に5時間以上のサービス提供回数が、5時間未満の回数を上回る利用者に限ることなどがあります。3-4時間で運営している機能訓練特化型の事業所は算定ができません。
ADL(日常生活動作)維持等加算の新設趣旨
通所介護における利用者の心身の機能の維持を促進する観点から、アウトカムに注目した評価の新設です。
自立支援・重度化防止の観点から、一定期間内に事業所を利用した者のうち、ADL(日常生活動作)の維持または改善の度合いが一定の水準を超えた場合を、新たに評価します。
日常生活動作(ADL)とは
Activities of Daily Livingのことで、ADLのAはアクティビティー(動作)、DLはデイリーリビング(日常生活)を指します。日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作で、「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」動作のことです。
(出所:公益財団法人長寿科学振興財団HP)
ADL維持等加算の単位数は次のとおり
ADL維持等加算(Ⅰ) 3単位/(新設)
ADL維持等加算(Ⅱ) 6単位/(新設)
算定要件
次の要件を満たす通所介護事業所の利用者全員について、評価対象期間(加算を算定する年度の前年1月から12月までの1年間)終了後の4月から3月までの1年間、新たな加算の算定を認めます。
次の要件を満たし、評価期間の終了後にもBarthel Indexを測定、報告した場合は加算(Ⅱ)を算定できます。加算(Ⅰ)(Ⅱ)は各月でいずれか一方のみ算定可能です。
①利用者(連続6か月以上利用し、かつ利用期間に5時間以上の通所介護サービスの利用回数が5時間未満のサービスの利用回数を上回る者に限る)の総数が20名以上
②評価対象利用期間の最初の月において要介護度が3、4または5である利用者が15%以上
③評価対象利用期間の最初の月の時点で、初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12月以内であった者が15%以下
④評価対象利用期間の最初の月と、当該最初の月から起算して6月目に、事業所の機能訓練指導員がBarthel Indexを測定しており、その結果がそれぞれの月に報告されている者が90%以上
⑤BI利得が上位85%の者について、各々のBI利得が0より大きければ1、0より小さければ-1、0ならば0として、全員の合計が0以上
Barthel Indexとは
平成31年4月から算定する場合
「平成30年1月~12月の間にADL維持等加算の届け出を行えば、その届け出から12月までを評価対象期間にできます。しかし、6か月の評価対象利用期間を要するため、7月までの届け出が必要です。」
(出所:「日経ヘルスケア」7月号)
短時間の機能訓練特化型事業所は、サービス提供時間区分の変更と合わせて、ADL維持等加算の算定できないことにより、事業を見直す必要が加速しています。
注目されているアウトカム評価ですが、これから解消していくべき課題はあります。
(出所:介護給付費分科会)
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
夏の1日を元気にお過ごしください。
火・木曜日は、「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬改定」として記事を紹介しています。
ブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kaigo/
平成30年度「認知症対応型共同生活介護」の介護報酬改定は次のとおり。
「介護老人保健施設」重要事項は次のとおり。
① 類型が大きく見直されました。在宅復帰・在宅療養支援等指標が導入。
② 介護老人保健施設の役割は在宅復帰・在宅療養支援。基本報酬体系が大幅に見直し
③ 在宅復帰率が低くても在宅復帰・在宅療養支援機能加算Ⅰを算定し「加算型」で増収
「訪問看護」重要事項は次のとおり。
① 基本報酬の見直しで要支援者向けの報酬体系を新設。リハビリ職の訪問が報酬減。
② 訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し
③ 中重度者対応やターミナルケア促進するため看取りや24時間対応を評価します
④ 複数名訪問加算〝複数名による訪問看護に係る加算の実施者の見直し〟
「居宅介護支援」重要事項は次のとおり。
② 入院時情報連携加算(Ⅰ:月200単位、Ⅱ:月100単位)の見直し
③ ケアプラン初回作成の手間が評価された退院・退所加算の見直し
⑤ 改定の目玉 医療・介護連携を促進する観点で新設された特定事業所加算Ⅳ
⑥ 主任ケアマネジャーであることを管理者要件とする管理要件の見直し
「訪問介護サービス」重要事項は次のとおり。
⑥ 訪問回数の多いケアプランは市町村に提出し、地域ケア会議で検討を義務付け。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「事業承継・税理士の視点」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」