中小企業で最も多いのは社長への〝役員貸付金〟資産価値がありますか?~経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方㉑
土曜日は、経営者の方が自社の決算書の数字を理解して、経営に活かせる“会計”の考え方を解説しています。21回目です。
前回、貸付金を紹介しました。今回は役員貸付金を紹介します。
中小企業の貸付金の中で、最も多いのが社長への貸付金です
引き出した現金を、役員個人の支払に利用したり、資金の使途が不明だったりした場合、役員貸付金として処理する場合があります
役員貸付金は少額であれば問題になることはありませんが
大きな金額になると、会社から社長に貸し付けたお金の使い道について、銀行など金融機関が照会してきます。
その際に、明確な理由を回答できれば問題はありませんが、通常は合理的な理由を説明することは困難です。
ようするに、次のとおり役員貸付金はデメリットしかありません
■法人と個人の区別・管理がつかず、不適正な会計処理の温床になってしまいます。
■事業資金が役員に回っているととらえられ、金融機関からの会社の評価が下がります。
■貸付金の返済の見込がないと、資産価値はゼロ評価になります。実態貸借対照表で見ると債務超過と判断されます。
したがって、役員貸付金の早期の解消をおすすめします
現実的な対応策は、毎月、役員報酬の中から役員貸付金を分割して返済していくことが一番です。その返済額に相当する部分が差し引かれ、手取額が減少するのがデメリットです。しかし、返済のために役員報酬を増加すれば、社長個人の社会保険料や所得税・住民税の負担が増加します。
役員貸付金には、次のような様々な解消方法があります。いずれも適切な方法とはいえません
①会社が貸付金の返済を放棄して、貸し倒れ処理します。
社長の役員賞与となり所得税等の税負担が増加します。貸し倒れは損金不算入になり、会社の所得が増加します。
②社長が個人資産を売却して返済します。
社長の売却益に、所得税や住民税が課税されます。
③社長個人が借入をして貸付金を精算します。
社長の債務が増えます。
このように、役員貸付金は簡単に解消することはできません。役員貸付金を発生させないことをおすすめします。
経営者は「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする」ことをおすすめします。
Every day is a new day!
今日も夏の1日を元気にお過ごしください。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
③ 売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう。
④ 売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります。
⑤ 会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意。
⑨ 本来の事業でどれだけ稼げているか?がわかるのが営業利益。
⑫ PLの中の5つの利益のうち、4つめの利益が税引前当期純利益
⑬ 5つめの利益が当期純利益。会社が1年間で得た最終的な利益です。
⑭ 貸借対照表の見方~お金の動かしやすいものから、上から順にならびます。
⑲ 販管費のうちの人件費。ポイントになるのは「役員報酬」です
土曜日は「会計」を紹介しています。
ブログ記事はhttp://www.y-itax.com/category/keiri/
会計超理解ハンドブック(No1~No17)
② 財務三表とは?
⑨ 減価償却費って何ですか?
⑪ 決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイントは純資産です。
⑬ C/F計算書のチェックポイントは「営業キャッシュフロー」です。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
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・火・木曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
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