シェアリングエコノミーなど副業となる雑所得について、電子データの保存は必要でしょうか? ~ 電子帳簿保存法改正[56]
電子帳簿保存法の電子取引の記事です。
今回は
請求書・領収書などの現金預金取引等関係書類の電子データを保存する必要があります
紹介します。
たとえば:Q
「私は勤務先の給与のほか、副業として行っている民泊や公演・原稿執筆などから得ている雑所得を有しています。」
「これらの雑所得を生ずる活動については、相手方などの一切のやりとりを電子メール・ウェブサイト上で行っています。その取引情報に係る電子データを保存しなければなりませんか?」
A:
所得税法上、ある年の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額について、前々年の金額が300万円を超える場合には、その業務に関してやりとりした請求書・領収書など(以下「現金預金取引等関係書類」といいます。)を保存する必要があります。
副業として行っている、たとえば民泊や講演・原稿執筆などは、雑所得を生ずべき業務に該当します。
その業務に関する請求書・領収書などの現金預金取引等関係書類の保存義務があるため、それらを電子データで受け取った場合は、電子データを保存する必要があります。
つまり、前々年の金額が300万円を超える場合には、請求書・領収書などの現金預金取引等関係書類の保存義務が発生しますので、取引情報に係る電子データを保存しなければなりません。
電子データの範囲は
現金預金取引等関係書類に通常記載される事項に係る電子データとして受け取ったものに限ります。
<参考>
電子帳簿保存法取扱通達 7-12
(所得税法第232条第2項に規定する書類の保存義務者が電子取引を行った場合に保存すべき電子取引の取引情報に係る電磁的記録の範囲について)
「所得税法第232条第2項の規定により一定の書類を保存しなければならない保存義務者が電子取引を行った場合には、その電子取引の取引情報のうちその書類に通常記載される事項に係る電磁的記録を法第7条の規定により保存しなければならないが、この場合において、その書類以外の書類(その保存義務者が、その年において不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行った場合において、これらの業務に関し保存しなければならないこととされる一定の書類を除く。)に通常記載される事項に係る電磁的記録については保存しないこととして差し支えないこととする。」
所得税法第232条第2項
(事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等)
「2 その年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者(省略)で、その年の前々年分のこれらの雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が300万円を超えるものは、財務省令で定めるところにより、これらの雑所得を生ずべき業務に係るその年の取引のうち総収入金額及び必要経費に関する事項を記載した書類として財務省令で定める書類を保存しなければならない。」
所得税法施行規則 第102条第7項
(事業所得等に係る取引に関する帳簿の記録の方法及び帳簿書類の保存)
「7 法第232条第2項に規定する財務省令で定める書類は、同項に規定する居住者又は非居住者(次項において「居住者等」という。)が同条第2項に規定する業務に関して作成し、又は受領した請求書、領収書その他これらに類する書類(自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものは、当該写しを含む。)のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたものとする。」
(出所:「電子帳簿保存法一問一答 電子取引関係」問59)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
秋の1日を元気にお過ごしくださいね!
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「創業者のクラウド会計」または「電子帳簿保存法の改正」
・火曜日~木曜日は「消費税」
・金曜日と土曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」
・日曜日は「経理・会計」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。