電子取引データが電子帳簿保存法の保存要件を満たしていなかった場合、どんなペナルティがありますか?など~ 電子帳簿保存法改正[29]
今回は
保存要件を満たしていなかった場合のペナルティなど、電子帳簿保存しようとする際に注意したいこと
を紹介します。
電子取引データが電子帳簿保存法の保存要件を満たしていなかった場合、青色申告の承認取消や税務調査で経費として認められない可能性があります。
しかし、保存要件を満たしていなかったことだけをもって直ちにペナルティが課せられるわけではありません。
たとえば、取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できる場合は問題ありません。
電子帳簿保存法一問一答
電子取引関係 QA42 【補足説明】
「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないかとの問合せがあります。
これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。」
契約書も含めてすべての書類をスキャナ保存すれば原本廃棄が可能ですか?
シリアスな問題があります。原本廃棄は次のような視点から検討する必要があります。
1 税法以外で原本保存が法令で義務づけられている場合は、原本保存が必要になります。たとえば、医療関係や輸出入関係などで原本保存義務があるそうです。
2 契約書は税法上ではスキャナ保存をすれば原本廃棄が可能です。しかし、他の法律、たとえば民事訴訟法などで必要となることを考えておく必要があります。一方、電子契約というものがあります。こうしたサービスの検討を考えていきます。
3 クラウド会計のデメリットとして、サービス停止のリスクを認識しておく必要があります。つまり、利用者が保存したデータを取り出せなくなることを想定しておく必要があります。
たとえば、クラウド会計のfreeeでは次のように対応を記載していますね。
<参考>
freee会計の利用をやめた場合、それまでfreee会計に保存した電子データはどうなりますか?
「freee会計のアカウントと事業所を削除しない限り、freee会計の利用をやめても、保存された電子ファイルが勝手に削除されることはありません。」
「ファイルボックスに保存したファイルのダウンロードは可能ですが、ダウンロードで取得したファイル単体では履歴や検索等の法令要件を満たさなくなります。そのため、紙原本を廃棄した場合には、法定保存期間(原則7年間)はアカウントと事業所を削除せずに、ファイルボックス上で保存してください」
(出所:freeeヘルプセンターマニュアル)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
春の1日朗らかにお過ごしくださいね!
[編集後記]
日曜日の「経理・会計」」はお休みしました。
トップの画像は、自宅の庭の「ソヨゴ」の花です。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「創業者のクラウド会計」
・火曜日は「消費税」
・水曜日は「個人の税金」
・木曜日と金曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」
・土曜日は「創業者のクラウド会計」
・日曜日は「経理・会計」
免責
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