「原則課税」または「簡易課税」の選択。その有利・不利の判定の仕方 ~ 消費税⑲
水曜日は消費税の記事を掲載します。
「原則課税」に対して
中小企業者に対する特例として「簡易課税」という制度があります
売上にかかる消費税に業種ごとに定められた控除率をかけて計算した金額を、課税仕入れ額とする方法です。実際の課税仕入れ額は使用しません。
実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができます。
みなし仕入率が次のように業種によって決まっています。
「原則課税」または「簡易課税」の有利不利の判定の考え方をご紹介します
たとえば飲食業で考えます。飲食業は第4種の区分に該当します。
したがって、みなし仕入率60%です。年間の収支が次のような数字だった場合
A:売上 15,000,000円(税抜)
B:経費 12,000,000円(税抜)
経費の内訳
B1 経費7,000,000円(材料費など消費税が課税されるもの)
B2 経費5,000,000円(給与や保険・税金など消費税が課税されないもの)
C:利益 3,000,000円
原則課税では、納付する消費税は次のように計算します。
15,000,000×10%-7,000,000×10%=800,000円(納付する消費税)
簡易課税では、納付する消費税は次のように計算します。
15,000,000×10%-15,000,000×60%×10%=600,000円(納付する消費税)
納付する消費税を比較すると
原則課税 800,000円 > 簡易課税 600,000円
事例では、簡易課税が有利になります。
この有利・不利の判定は次のような考え方で行います
①原則課税で次のような割合を算出します
(C+B2)/A (利益と消費税が課税されない費用の合計額の売上に対する割合)
事例では
(3,000,000円+5,000,000円)/15,000,000円=53%
になります。
②簡易課税ではみなし仕入率の逆数を計算します
事例では飲食業のみなし仕入率は60%です。みなし仕入率の逆数は次のように求められます。この割合は売上に対する納付税額の割合になります。
100% -60% =40%
この割合は、先ほどの原則課税で算出した
「(C+B2)/A(利益と消費税が課税されない費用の合計額の売上に対する割合)」と同義の数字を意味します。
③①と②で算出した割合を比較して、少ない方の割合の課税方法を選択します
事例でいうと
原則課税 53% > 簡易課税40% ∴ 簡易課税有利、
このケースでは簡易課税を選択します。
このような方法でざっくりと
「原則課税」または「簡易課税」の概算税額を比較することができます
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
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消費税
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