井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.04.25.Fri | 消費税

消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書の提出を忘れていた? ~ インボイス制度 消費税[671]




消費税の記事を掲載します






たまたま土地の譲渡があった場合の「課税売上割合に準ずる割合」の適用承認申請書の提出について






を紹介します。






たとえば






Q:




1 土地の譲渡は非課税とされています。その譲渡対価は消費税法第30条第6項《課税売上割合》に規定する課税売上割合(「課税売上割合」といいます。)の計算上資産の譲渡等の対価に含まれます。土地の譲渡に伴う課税仕入れの額はその譲渡金額に比し一般的に少額であることから、課税売上割合を適用して仕入れに係る消費税額を計算した場合には、事業の実態を反映しないことがあります。


2 そこで、たまたま土地の譲渡対価の額があったことにより課税売上割合が減少する場合で、課税売上割合を適用して仕入れに係る消費税額を計算すると当該事業者の事業の実態を反映しないと認められるときは、課税売上割合に準ずる割合の承認を受けることができる取扱いはできないのでしょうか?


A:

土地の譲渡が単発のものであり、かつ、当該土地の譲渡がなかったとした場合には




事業の実態に変動がないと認められる場合に限り、次の①または②の割合のいずれか低い割合により課税売上割合に準ずる割合の承認を受けることができます。


① 土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合(令533《通算課税売上割合の計算方法》に規定する計算方法により計算した割合をいいます。)

② 土地の譲渡があった課税期間の前課税期間の課税売上割合




ポイントは次の3つです




1 この承認を受けるために「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出します。


2 土地の譲渡がなかったとした場合に、事業の実態に変動がないと認められる場合とは、事業者の営業の実態に変動がなく、かつ、過去3年間で最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合の差が5%以内である場合とします。


3 課税売上割合に準ずる割合の適用を受ける場合、納税地の所轄税務署長の承認を受けた日の属する課税期間から適用されます。

 なお、適用を受けようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し、同日の翌日以後1月を経過する日までに納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合、当該承認申請書を提出した日の属する課税期間から適用されます。


4 この課税売上割合に準ずる割合の承認は、たまたま土地の譲渡があった場合に行うものです。課税期間において適用したときは、翌課税期間において「消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を提出します。

なお、提出がない場合には、承認を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以降の承認を取り消されます。




(出所:国税庁 消費税質疑応答事例)




<参考>




消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書の提出失念により過大納付消費税額が発生した事例




1 税理士は平成19年6月に依頼者の消費税申告について関与を開始した。令和3年12月、一般財団法人である依頼者は「純資産額が2期連続で300万円未満となった場合、公益法人法に定める解散事由となるため、令和4年3月末日までに土地の売却等で純資産の増加を図らなければならない」との理事会の意見書を税理士に提出した。


2 また、令和4年3月、税理士は、依頼者から土地の譲渡及び入金が完了したと連絡を受けていたが、土地の売却により課税売上割合が下がることを予測できたにもかかわらず、消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書の提出を失念した。


3 令和4年5月、依頼者より令和4 年3月期の消費税申告予定額が異常に大きいことの質問を受け、土地譲渡により課税売上割合が下がり、控除対象仕入税額が大きく下がったことが判明したことから、本件過誤が発覚した。


4 消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書を提出することで、たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認の適用要件を満たしており、課税売上割合は前期(令和3年3月期)と同じ割合を適用できたことから、これにより発生した過大納付消費税額について、税理士は依頼者から損害賠償請求を受けた。




(税理士職業賠償責任保険事故事例「4」)








「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」

(ピーター F.ドラッカー)

春の1日、朗らかにお過ごしくださいね。











[編集後記]

公益信託の記事はお休みしました。




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