「委託販売」委託者が純額処理をしている場合に注意したいこと~ インボイス制度 消費税[662]

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純額処理の場合、課税仕入れの金額は計上されていません。しかし、インボイスの保存は必要です
を紹介します。
そもそも委託販売とは
自社の商品などの販売を、手数料を支払い他人に委託することをいいます。販売業務を委託した人を委託者、委託された人は受託者といいます。
受託者は、販売業務に関する手数料を報酬として受け取ります。
委託販売のイメージです

たとえば、受託者の販売金額が1,000円、委託販売手数料が100円の場合の委託者と受託者の売上高は、次のとおりのルールです。

このうち委託者の例外処理「純額処理」とは
資産の販売金額から受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者の売上高とします。
純額処理を行う場合、課税売上高はネットの金額(1,000円-100円)になっています。100円の課税仕入れの金額は計上されません。
しかし、インボイスの保存義務はあります。純額処理を行う場合でも、委託販売手数料に係るインボイスの書類が必要です。
この場合、簡単な方法は、受託者が委託者に渡す精算書に、委託販売手数料に係るインボイスの内容を記載して渡すという方法が簡便です。
【委託販売等の手数料に係る委託者の売上税額の計算】
Q:
① A社は委託販売に係る資産の譲渡を行った場合の売上税額の計算について、資産の譲渡の金額から、受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡の金額としています(純額処理)。
② この場合のインボイス方式の取扱いについてはどうなりますか?A社が行う委託販売は軽減税率の適用対象ではありません。
A:
① 委託販売について、委託販売に係る委託者においては、受託者が委託商品の譲渡したことに伴い収受した金額が委託者における資産の譲渡の金額となります。
② 軽減税率の適用対象とならない課税資産の譲渡のみを行うことを委託している場合、その課税期間中に行った委託販売のすべてについて、その資産の譲渡の金額から受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡の金額とすることも認められています。
③ インボイス保存方式においては、行った課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、受託者から交付を受けたインボイスの保存が必要となります。
④ したがって、その資産の譲渡の金額から受託者に支払う委託販売手数料(課税仕入れ)を控除した残額を委託者における資産の譲渡の金額とするためには、当該委託販売手数料に係るインボイスの保存が必要となります。
(出所:国税庁 インボイスQ&A 問123)
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(ピーター F.ドラッカー)
春の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
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