帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への記載事項について ~ インボイス制度 消費税[632]
消費税の記事を掲載します。
帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められる取引がありますが、帳簿に一定の追加記載が必要です
を紹介します。
Q:
1 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送などは請求書の保存が不要で、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができます。
2 この場合の帳簿への記載事項はどうなっているのでしょうか?
A:
次の取引は一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます
- ① インボイスの交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
- ② 簡易インボイスの記載事項(取引年月日 を除きます。)記載されている入場券が使用の際に回収される取引 (「回収特例」といいます。)
- ③ 古物営業を営む者のインボイス発行事業者でない者からの古物の購入
- ④ 質屋を営む者のインボイス発行事業者でない者からの質物の取得
- ⑤ 宅地建物取引業を営む者のインボイス発行事業者でない者からの建物の購入
- ⑥ インボイス発行事業者でない者からの再生資源または再生部品の購入
- ⑦ インボイスの交付義務が免除される3万円未満の自動販売機および自動サービス機からの商品の購入
- ⑧ インボイスの交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービ(郵便ポストにより差し出されたものに限ります。)
- ⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費など(出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当)
この場合、帳簿の記載事項については通常必要な記載事項に加えて、次の事項の記載が必要となります
A:帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる次の取引
- ①の場合 → 「3万円未満の鉄道料金」
⑦の場合 → 「自販機」、「ATM」
B: 仕入れの相手方の住所または所在地の記載が必要となる取引
②の場合(3万円以上のもの) → 「××施設入場券 」
帳簿に仕入れの相手方の住所または所在地の記載が不要な課税仕入れは、次のとおりです
①の課税仕入れ
②の課税仕入れのうち3万円未満のもの
③から⑥の課税仕入れ(③から⑤に係る課税仕入れについては、古物営業法、質屋営業法または宅地建物取引業法により、業務に関する帳簿等へ相手方の氏名および住所を記載することとされているもの以外のものに限り、⑥に係る課税仕入れについては、事業者以外の者から受けるものに限ります。)
⑦から⑨の課税仕入れ
<参考>
古物営業の場合
古物営業法において、商品を仕入れた際の対価の総額が1万円以上(税込み)の場合には、帳簿(いわゆる「古物台帳」)に①取引年月日、②古物の品目及び数量、③古物の特徴、④相手方の住所、氏名、職業及び年齢、⑤相手方の確認方法を記載し、保存しなければならないこととされています。
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項は次の5つ
① 課税仕入れの相手方の氏名または名称および住所または所在地 (古物台帳に、取引の相手方の氏名や住所を記載することとされていない場合には不要)
② 課税仕入れを行った年月日
③ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
④ 課税仕入れに係る支払対価の額
⑤ 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
つまり
古物台帳には①から④の事項が記載されていることになります。
したがって
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項としては、⑤の事項が必要となるため、古物台帳と⑤の事項について記載した 帳簿(総勘定元帳等) を合わせて保存することで、帳簿の保存要件を満たすことができます。
この場合
古物台帳については帳簿の 保存期間(課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から 7 年間)保存しておく必要がある点に注意します。 (出所:インボイスQ&A 問110)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
小雪の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
金曜日の公益信託の記事はお休みしました。
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