クーポンによる値引きがあった場合の「簡易インボイス(レシート)」の取り扱い~ インボイス制度 消費税[421]
消費税の記事を掲載します。
今回は
「簡易インボイス(レシート)」に適用税率ごとの値引き額または値引き後の金額を記載することによって、10%適用の資産の譲渡から優先的に対価の返還に係る税額控除を適用することができます
を紹介します。
たとえば
「スーパーマーケットを営む事業者です。飲食料品(8%)と飲食料品以外のもの(10%)を同時に販売した際に、合計金額(税込み)から1,000 円の値引きができるクーポンを発行しています。」
「インボイス制度において、このクーポンが使用され値引きを行った場合、当社が発行する「簡易インボイス」(レシート)には、どのような記載が必要となりますか?」
飲食料品と飲食料品以外の資産を同時に譲渡しクーポンの利用により、その合計額から一括して値引きを行う場合
税率ごとに区分した値引き後の課税資産の譲渡等の対価の額に対してそれぞれ消費税が課されることとなります。
そのため、「簡易インボイス」(レシート)における「課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」は、値引き後のものを明らかにする必要があります。
税率ごとに区分された値引き前の課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額と、税率ごとに区分された値引額がレシートにおいて明らかとなっている場合
これらにより値引き後の課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額が確認できるため、値引き後の「課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」が明らかにされているものとして取り扱われます。
一方
A:適用税率(8%・10%)ごとの値引額または値引額控除後の対価の額が明らかでないとき
つまり、8%の適用資産の譲渡と10%の適用資産の譲渡について、その合計額から一括して値引きを行う場合、適用税率ごとの値引額または値引額控除後の対価の額が明らかでないときは、これらの資産の譲渡に係る価額の比により按分して、適用税率ごとの値引額を算出することとなります。
B:顧客に交付する領収書により適用税率ごとの値引額または値引額控除後の対価の額が確認できるとき
それが価額の比により按分したものでなくても、適用税率ごとに合理的に区分されているものと認められます。
つまり
「簡易インボイス」(レシート)に適用税率ごとの値引額または値引額控除後の対価の額を記載すると、そのレシートは、簡易インボイスと返還インボイスを兼ねた書類となります。
「簡易インボイス」(レシート)に適用税率ごとの値引き額または値引き後の金額を記載することによって、標準税率(10%)適用の資産の譲渡から優先的に対価の返還に係る税額控除を適用することが可能となります。
<参考>
軽減税率通達15
「事業者が、軽減対象資産の譲渡等とそれ以外の資産の譲渡等を同時に行った場合には、それぞれの資産の譲渡等ごとに適用税率を判定することとなるが、例えば、顧客が割引券等を利用したことにより、これら同時に行った資産の譲渡等を対象として一括して対価の額の値引きが行われており、当該資産の譲渡等に係る適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が明らかでないときは、割引券等による値引額を当該資産の譲渡等に係る価額の比率により按分し、適用税率ごとの値引額及び値引額控除後の対価の額を区分することとなることに留意する。
なお、当該資産の譲渡等に際して顧客へ交付する領収書等の書類により適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が確認できるときは、当該資産の譲渡等に係る値引額又は値引額控除後の対価の額が、適用税率ごとに合理的に区分されているものに該当する。」
(出所:インボイスに関するQ&A 令和5年4月改訂 問67)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
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