課税期間の末日までに支払対価の額が確定せず見積額で仕入税額控除を行う場合 ~ インボイス制度 消費税[419]
消費税の記事を掲載します。
今回は
支払対価の額が確定せず見積額で仕入税額控除を行う場合の取扱い(短期前払費用の適用を受けた金額が契約変更により変動した場合も同様に考えます)
を紹介します。
次の①、②の場合で、その後後確定した対価の額が見積額と異なるときは
① 見積額が記載されたインボイスの交付を受ける場合
取引の相手方から見積額が記載されたインボイスの交付を受ける場合、これを保存することで見積額による仕入税額控除が認められます※1。
後日、確定額が見積額と異なるときは、確定額が記載されたインボイス(対価の額を修正したインボイス)の交付を受けた上で、これを保存する必要があります。
② 見積額が記載されたインボイスの交付を受けられない場合
見積額が記載されたインボイスの交付を受けられない場合であっても、電気・ガス・水道水の供給のようなインボイス発行事業者から継続して行われる取引※2については、見積額が記載されたインボイスや仕入明細書の保存がなくとも、後日、金額が確定したときに交付されるインボイスを保存することを条件として、課税仕入れを行う事業者が課税期間の末日の現況により適正に見積もった金額で、仕入税額控除を行うこととして問題ありません。
※1 見積額を記載した仕入明細書を自ら作成し、相手方の確認を受けた場合は、これを保存することで見積額による仕入税額控除が認められます。確定額が見積額と異なる場合の取扱いは、確定額のインボイスを受け取った場合と同じです。
※2 このほか、たとえば、機械などの保守点検、弁護士の顧問契約のように契約に基づき継続的に課税資産の譲渡等が行われ、金額が確定した際にインボイスの交付を受ける蓋然性の高い取引も同様に取り扱います。
確定額の取り扱いは次のとおりです
確定した対価の額に基づく課税仕入れに係る消費税額と見積額に基づく課税仕入れに係る消費税額との差額を、その確定した日の属する課税期間における課税仕入れに係る消費税額に加算または減算することになります。
仕入税額の計算方法が割戻し計算の場合は
確定した対価の額と見積額との差額をその確定した日の属する課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に加算し、または課税仕入れに係る支払対価の額から控除することになります。
短期前払費用の適用を受けた金額が契約変更により変動した場合も同様に考えます
<参考>
→ 短期前払費用の取り扱いについて~ インボイス制度 消費税[415]
(出所:インボイスに関するQ&A 令和5年4月改訂 問94,96)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
大暑の1日、元気にお過ごしくださいね!
【編集後記】
木曜日の「法人税」の記事はお休みしました。
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