取引先に経費の立替払いしてもらった場合のインボイスの取り扱い ~ インボイス制度 消費税[380]
消費税の記事を掲載します。
今回は
取引先に経費を立て替えてもらう場合があります。当社はどうしたら仕入税額控除のための保存要件を満たすこととなりますか?
を紹介します。
たとえば
Q:
A社(当社)は、取引先のB社に経費を立て替えてもらう場合があります。
この場合、経費の支払先であるC社から交付されるインボイスには立替払をしたB社の名称が記載されます。
B社からこのインボイスを受け取り、保存しておけば、仕入税額控除のためのインボイスの保存要件を満たすこととなりますか?
A:
A社が、B社あてに交付されたインボイスをB社からそのまま受け取ったとしても、これをもって、C社からA社に交付されたインボイスとすることはできません。
仕入税額控除のためには立替金精算書が必要です
立替払を行ったB社から、立替金精算書の交付を受けるなどにより、経費の支払先であるC社から行った課税仕入れがA社のものであることが明らかにされている場合には、そのインボイスおよび立替金精算書の書類の保存をもって、A社は、C社からの課税仕入れに係る請求書等の保存要件を満たすこととなります。
この場合、立替払を行うB社がインボイス発行事業者以外の事業者であっても
C社がインボイス発行事業者であれば、仕入税額控除を行うことができます。
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れについての取り扱いは、次のとおりです
立替払の内容が、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れに該当することが確認できた場合、A社は、一定の事項を記載した帳簿を保存することにより仕入税額控除を行うことができます。
この場合、インボイスおよび立替金精算書の保存は不要です。
一方、複数者分の経費を一括してB社が立替払している場合
原則としては
B社はC社から受領したインボイスをコピーし、経費の支払先であるC社から行った課税仕入れがA社および各社のものであることを明らかにするために、B社が作成した精算書を添えるなどし、A社を含む立替えを受けた者に交付する必要があります。
ただし、立替えを受けた者に交付するインボイスのコピーが大量となるなどの事情により、立替払を行ったB社がコピーを交付することが困難なときは
B社がC社から交付を受けたインボイスを保存し、立替金精算書を交付することにより、A社はB社が作成した(立替えを受けた者の負担額が記載されている)立替金精算書の保存をもって、仕入税額控除を行うことができます。
この場合、立替払いを受けたA社等は、立替金精算書の保存をもってインボイスの保存があるものとして取り扱われるため、立替払を行った取引先のB社は、その立替金が仕入税額控除可能なものか(すなわち、インボイス発行事業者からの仕入れか、インボイス発行行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかする必要があります。
また、適用税率ごとに区分するなど、A社が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を立替金精算書に記載する必要があります。
立替金精算書に記載する「消費税額等」については次の点に注意します
① 合理的な方法で消費税額を算出すること
課税仕入れの相手方であるC社から交付を受けたインボイスに記載された消費税額等を基礎として、立替払いを受ける者の負担割合を乗じて按分した金額によるなど合理的な方法で計算した「消費税額等」を記載する必要があります。
② 端数が一致しなくても問題ありません
立替金精算書に記載する複数の事業者ごとの消費税額等の合計額がインボイスに記載された消費税額等と一致しないことも生じます。
この消費税額等が合理的な方法により計算されたものである限り、立替金精算書により仕入税額控除を行うこととして問題ありません。
③ 立替金精算書には、課税仕入れがインボイス発行事業者のものであることを確認できるようしておくことが必要です。
つまり、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名または名称の記載が必要であるほか、その経費がインボイス発行事業者から受けたものか否かを確認できるよう、立替払を行ったB社とA社の間で、課税仕入れの相手方の氏名または名称および登録番号を確認できるようにしておく必要があります。
ただし、これらの事項について、別途、書面で通知する場合のほか、継続的な取引に係る契約書などで、別途明らかにされているなどの場合には、精算書において明らかにしていなくても問題ありません。
(出所:インボイスに関するQ&A 令和5年4月改訂 問92)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
小満の1日、元気にお過ごしくださいね!
[編集後記]
先日、税理士牧口晴一氏の「日本一シンプルな相続対策~認知症になる前にやっておくべきカンタン手続き」のセミナーに参加しました。
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