社員がバスや電車などの公共交通機関を利用した場合の仕入税額控除の考え方 ~ インボイス制度 消費税[376]
消費税の記事を掲載します。
今回は
「公共交通機関特例」と「出張旅費等特例」の2つがあります。その特例の適用の考え方について
を紹介します。
「公共交通機関特例」とは
1回の金額が3万円未満の公共交通機関による旅客の運送はインボイスの交付義務が免除されます。売手はインボイスを交付しなくてよいので、買手はインボイスなしでも控除できます。
すなわち、帳簿に一定の事項を記載することにより仕入れ税額控除ができます。
<参考>
→ 取引のうちインボイスなしで、帳簿保存のみで仕入税額控除が可能となる「帳簿のみ保存の特例」
ただし、1回の金額が3万円以上の場合は「公共交通機関特例」は適用できません
したがって、仕入れ税額控除のためにインボイスや簡易インボイスが必要となります。
実務的には、鉄道会社などは3万円にかかわらず次のような対応をします
「3万円の判定は、1回の取引金額で判定することなどから、駅のオペレーションを考慮し、自動券売機・指定席券売機で購入する乗車券や特急券は、券面金額にかかわらず、その自動券売機・指定席券売機や有人窓口(改札・みどりの窓口)において、利用者の求めに応じて簡易インボイスの要件を満たす領収書を交付する」
(出所:税務通信3746号 23/03/27)」
<参考>
→ インボイス交付義務免除の「3万円未満の公共交通機関特例」について
一方、「出張旅費等特例」とは
所得税が非課税となる範囲内で、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるというものです。
具体的には次のようなケースです。
社員に支給する国内の出張旅費、宿泊費、日当については、社員はインボイス発行事業者ではないため、インボイスの交付を受けることができません。
このままだと、仕入税額控除を行うことはできません。
次のような対応で仕入れ税額控除を可能にします
すなわち、社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するものとして取り扱います。一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認めます。
また、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる「その旅行に通常必要であると認められる部分」については、所得税基本通達9-3に基づき判定します。
したがって、所得税が非課税となる範囲内で、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることになります。
<参考>
→ 従業員に支給する国内の出張旅費や宿泊費、日当の仕入税額控除の取り扱いについて
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(ピーター F.ドラッカー)
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