帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能となる「帳簿のみ保存の特例」の記載例について ~ インボイス制度 消費税[269]
消費税の記事を掲載します。
今回は
請求書を受けることが困難な取引は一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます
を紹介します。
たとえば
Q:
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送などは、請求書の保存が不要で、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができるそうです。
この場合の帳簿への記載事項について教えてください。
A:
「帳簿のみ保存の特例」の対象となる取引は次のとおりです
① インボイスの交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
② インボイスの記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引
③ 古物営業を営む者のインボイス発行事業者でない者からの古物の購入
④ 質屋を営む者のインボイス発行事業者でない者からの質物の取得
⑤ 宅地建物取引業を営む者のインボイス発行事業者でない者からの建物の購入
⑥ インボイス発行事業者でない者からの再生資源または再生部品の購入
⑦ インボイスの交付義務が免除される3万円未満の自動販売機および自動サービス機からの商品の購入
⑧ インボイスの交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストにより差し出されたものに限ります。)
⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費(出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当)
この場合、帳簿には通常必要な記載事項に加えて次の事項を記載することになります。
1 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
①の場合は
「3万円未満の鉄道料金」と記載します。
②の場合
「入場券等」と記載します。
2 仕入れの相手方の住所または所在地(一定の者を除きます。)
⑦の場合
「〇〇市 自販機」、「××銀行□□支店ATM」と記載します。
帳簿に「仕入れの相手方の住所または所在地」の記載が不要な者は、次のとおりです
1 インボイスの交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送について、その運送を行った者
2 インボイスの交付義務が免除される郵便役務の提供について、その郵便役務の提供を行った者
3 課税仕入れに該当する出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)を支払った場合の出張旅費等を受領した使用人
4「帳簿のみ保存特例」の対象となる取引のうち、③から⑥の課税仕入れ(③から⑤に係る課税仕入れについては、古物営業法、質屋営業法または宅地建物取引業法により、業務に関する帳簿等へ相手方の氏名及び住所を記載することとされているもの以外のものに限り、⑥に係る課税仕入れについては、事業者以外の者から受けるものに限ります。)を行った場合の課税仕入れの相手方
11月25日にQ&Aが改訂されて、上記の帳簿の記載例が追加されています。
(出所:インボイスに関するQ&A 令和4年11月改訂 問98)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
冬の1日、元気にお過ごしくださいね!
[編集後記]
金曜日の「贈与や相続・譲渡など資産税」の記事はお休みしました。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「創業者のクラウド会計」または「電子帳簿保存法の改正」
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