インボイス導入で赤字に陥るシルバー人材センター。フリーランスも影響は同じです インボイス制度 消費税[204]
消費税の記事を掲載します。
今回は
高齢者のやる気、生きがいをそぎ、ひいては地域社会の活力低下をもたらす。フリーランスも同じ
を紹介します。
朝日新聞朝刊(22/09/14)の「多事奏論」(編集委員:中川透)では、次のように紹介されていました
「『高齢者のやる気、 生きがいを削ぎ、 引いては地域社会の活力低下をもたらす』 そんな心配をつづった意見書が、各地の地方議会から政府や国会に続々と出ている。」
「全国シルバー人材センター事業協会によると約200件。 1300超のセンターと働く60代以上の会員70万人に消費税のインボイス制度が及ぼす影響への不安だ。」
記事の見出しを読んだときには、インボイス制度の導入がなぜ全国シルバー人材センターの事業に大きな影響を及ぼすのかわかりませんでした。
「インボイス制度からシルバー人材センターを守るために」を読むと
(2021年12月株式会社ふるさと回帰総合政策研究所 代表取締役 玉田 樹)
つまり、次のような理由からです(以下抜粋引用)
「インボイス制度がシルバー人材センターに導入されたらどうなるか?
① シルバー人材センターは、納税義務者で会員は免税事業者です。
② シルバー人材センターの派遣事業は派遣先で事務処理されるが、地方に多い受託事業はインボイス制度の適用を受けます。
③ 受託事業の場合、仕入れは『会員によるサービス提供』であり 販売先は仕事を依頼してきた事業者となります。
従って、受託事業の場合、たとえば8万円で会員にやってもらった仕事(仕入れ)を発注者10万円で販売したときは、消費税は次のようになります。
納税額(1万円)= 販売時消費税(1万円)-仕入れ時消費税(0円)
仕入れ時消費税がゼロになるのはサービスを提供した会員が免税事業者で適格請求書を発行できないからです。
これまで会員の「益税」となっていたものが表にさらされるため、これを一手に引き受けるのがシルバー人材センターとなります。」
さらに「影響が出るのはシルバー人材センターだけではない」と
「零細事業者にも影響が出る。引いてはフリーランスにも影響がでる。インボイス制度が導入されればフリーランスに出す仕事の対価が10%値引きされることは容易に想像できることである。インボイス制度がこの起業者たるフリーランスいじめをすれば、これからの産業を担う新しい企業の芽を摘むことになり将来は真っ暗となる。」
次のような解決策が紹介されています
① 益税をそのまま認める。
② 免税事業者の基準を下げる。
③ これまでの免税事業者に益税を半分まで認める。
④ JAや卸売市場と同じような特例措置も設け、インボイス制度の適用除外にする。
「JAや卸売市場と同じような特例措置を講ずべきと考える。我が国の農業を支えるために農産物の流通販売や農家の資材調達を支援するJAや卸売市場だけにインボイス制度の特例で措置を設けているのは片手落ちで農産物の生産そのものに関わる足りない人材を提供するシルバー人材セーターも同等の扱いにしなければ、国を挙げての農業支援体制の輪は完結しない。 シルバー人材センターは高齢社会そして地域経済や農業を支える社会インフラである。これをインボイスごときで破壊していいはずはない」
解決策は④に同意したいです。
<参考>
→ 3万円未満の公共交通機関による旅客運送など適格請求書の交付義務が免除される取引があります
将来的には、フリーランスなどの起業者などの小規模事業者に対しては
税理士熊王さんが提案されている次のような「改正簡易課税制度」に同意します。
「それで漠然と考えているのですが、おそらく免税事業者が登録したら、まずは9分9厘は簡易課税を使うんです。簡易課税は90%から40%までの6種類のみのみなし仕入率があるけれども、当期の課税売上高が1000万円以下の事業者は、(業種を問わず)みなし仕入れ率を90%にしちゃうんです。どう思いますか?」
「はい。例えば年収700万円だとすると消費税は70万円でしょう、9割削れるから納税は7万円で、法人の均等割りと一緒になる。」
(「逐条放談消費税のインボイスQ&A第2版」税理士:熊王征秀、渡辺章343~345頁)
22/11/22 追加
インボイス特例の導入が検討されています
→ フリーランスなど小規模事業者の負担を抑える新しい期限付きのインボイス特例の導入
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
秋の1日、元気にお過ごしくださいね!
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