インボイスを受け取ってもらえない。取引先からの仕入明細書により売上税額の積上げ計算はできますか? ~ インボイス制度 消費税[173]
消費税の記事を掲載します。
今回は
取引先からの仕入明細書により売上税額の積上げ計算はできますか?取り決めがあればインボイスに代えて取引先の仕入明細書で問題ありません
を紹介します。
取引先自らが、作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書として保存して、仕入税額控除を受けることができます。
<参考>
→ 自ら作成した仕入明細書を相手方に確認してもらった後、適格請求書として保存する方法
たとえば、次のような場合
自社は売上税額の積上げ計算を行うため、適格請求書を交付して、その写しを保存することとしています。
しかし、取引先A社は、仕入明細書により支払が行われ、自社が作成した適格請求書を受けとってもらえません。
したがって、A社に対する売上げについては、売上税額の積上げ計算を行うために必要な「交付した適格請求書の写し」の保存を行うことができません。
このような場合、A社に対する売上げに係る売上税額の積上げ計算を行うことはできないのでしょうか。
なお、確認をするためにA社から受領した仕入明細書については、自社で保存しています。
売上税額計算は積上げ計算でも問題はありません
インボイスの売上税額の計算方法については、割戻し計算のほか、相手方に「交付」した適格請求書等の写しを保存している場合に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とする積上げ計算が認められています。
<参考>
→ 売上税額の税額計算は、割戻し計算が原則。特例は積上げ計算。特例が有利です
取り決めがあればインボイスに代えて取引先の仕入明細書で問題ありません
買手であるA社が、仕入明細書を仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等とするには、仕入明細書に記載されている事項について売手である売手(自社)の確認を受けることが必要です。
この確認の結果、売手(自社)と買手(A社)との間で仕入明細書に記載された消費税額等について共有されることになります。売手(自社)と買手(A社)間での取決めにより、仕入明細書により代金の支払が行われ、売手(自社)が適格請求書を交付することができない場合であっても、仕入明細書に記載されている事項の確認に当たって仕入明細書を受け取り、かつ、受け取った仕入明細書を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存している場合には、「交付した適格請求書等の写しの保存」があるものとして、売上税額の積上げ計算を行って問題ありません。
(出所:国税庁インボイス 令和4年4月改訂 Q&A 93)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
向暑の1日。笑顔の多い1日になりますように。
[編集後記]
昨日は吹田商工会議所の「すいた経営革新支援センター SaBiC」の佐藤所長と所用の打ち合わせに行きました。
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