端数値引きがある場合のインボイスの記載の仕方について ~ インボイス制度 消費税[167]
消費税の記事を掲載します。
今回は
取引先に対して請求金額の合計額の端数を値引きすることがあります。出精値引きがあった場合の請求書の記載について
紹介します。
値引きした時期により次のように2つの対応になります
① すでに行った売上に係る値引きである場合
売上げに係る対価の返還等として処理します
② これから行う売上に係る値引きである場合
売上の対価の額から直接減額して処理します。
値引きの時期が、①または②のうち、厳密な区分が困難である場合は、①と②のいずれの処理を行っても問題ありません。
① 売上げに係る対価の返還等として処理する方法
すでに行った売上に係る値引きである場合、値引きについては適格返還請求書を交付することとなります。
ただし、適格請求書と適格返還請求書のそれぞれの記載事項を満たして一の書類で記載することができます。
この場合、出精値引きは既に行った個々の取引のいずれかに対して値引きを行う性質のものではなく、その請求全体に対して値引きを行うものです。
適格返還請求書の記載事項である「売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容」は、適格請求書の記載事項である「課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容」と同一となることから、記載する必要はありません。
また、たとえば、標準税率の取引のみを行っているなど、取引に係る適用税率が単一である場合、適格返還請求書の記載事項である売上げに係る対価の返還等の金額に係る「適用税率」に関しても、適格請求書の記載事項である「適用税率」とは別に記載する必要はありません。
なお、適格返還請求書は、売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等または適用税率のいずれか一方のみの記載が求められている(両方の記載も可能)ことから、適用税率を記載した場合は、「売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等」の記載を省略することができます。
帳簿の記載についても、端数値引きによる対価の返還等であることが明らかな記載であれば問題ありません。
② 売上の対価の額から直接減額して処理する方法
これから行う売上に係る値引きである場合、対価の額から直接減額して処理することとなります。
適格請求書には、値引き後の対価の額に係る消費税額等を記載します。
また、標準税率および軽減税率対象の取引を同時に行う場合の出精値引きについては、その出精値引額をその資産の譲渡等の価額の比率によりあん分し、適用税率ごとに区分することになります。
一方、この場合において、例えば、標準税率対象のものからのみ値引きを行うとしても、値引額または値引き後の対価の額が明らかとなっていれば、合理的に区分されていることになります。
次のような記載になります。
(出所:国税庁インボイス Q&A 58)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」
(ピーター F.ドラッカー)
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