提供された適格請求書の電子データを出力して書面により保存する場合、仕入税額控除の要件を満たしますか? ~ インボイス制度 消費税[131]
インボイス制度の記事を掲載します。
今回は
消費税における電子取引に係る電子データは、書面による保存は可能です。ただし、申告所得税・法人税では電磁的記録の出力書面の保存は廃止になります
を紹介します。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)は
令和5年10月1日に始まります。
インボイス制度では次の6点が変わります(ざっくりと)
① 請求書に記載する事項が変わります。
② 適格請求書は登録を受けた事業者のみが交付できます。
③ 登録を受けた事業者には適格請求書を交付する義務が生じます。
④ 仕入税額控除の適用を受けるためには適格請求書等の保存が必要となります。
⑤ 税額計算の方法が変わります。
⑥ 登録には申請が必要です。
請求書の電子データのように、適格請求書に係る電磁的記録による提供を受けた場合
電磁的記録を整然とした形式および明瞭な状態で出力した書面を保存することで、仕入税額控除の適用に係る請求書等の保存要件を満たします。
<参考>
消費税法施行規則第15条の5
適格請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録の提供を受けた場合等の保存方法
「2 令第50条第1項及び第2項並びに前項の規定にかかわらず、これらの規定により同条第1項及び第2項に規定する電磁的記録を保存する事業者は、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力したものに限る。)を保存する方法によることができる。この場合において、当該事業者は、当該書面を、これらの規定により保存すべき場所に、これらの規定により保存すべき期間、整理して保存しなければならない。」
令和3年度の税制改正により、申告所得税・法人税では電磁的記録の出力書面の保存は廃止になります
つまり、電帳法において、申告所得税および法人税法の保存義務者については、令和4年1月1日以後行う電子取引に係る電磁的記録を書面やマイクロフィルムに出力してその電磁的記録の保存に代えられる措置が廃止されます。
すべての電子取引の取引情報に係る電磁的記録を一定の要件の下、保存しなければなりません。
電子データで保存せず、書面で保存している場合は、青色申告の承認の取消しも考えられます
電子帳簿保存法一問一答 【電子取引関係】
Q42
電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を満たして保存できないため、全て書面等に出力して保存しています。これでは保存義務を果たしていることにはならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのでしょうか?
その電磁的記録や書面等は税務調査においてどのように取り扱われるのでしょうか?
A
令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えることはできません。
したがって、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。
なお、青色申告の承認の取消しについては、違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、その適用を判断しています。
また、その電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書面等を保存している場合については、その電磁的記録や書面等は、国税関係書類以外の書類とみなされません。
ただし、その申告内容の適正性については、税務調査において、納税者からの追加的な説明や資料提出、取引先の情報等を総合勘案して確認することとなります。
ただし、消費税の適格請求書の保存については次のとおりです
消費税に係る保存義務者が行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存については、その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを勘案して、改正後も引き続き、その電磁的記録を出力した書面による保存が可能とされています。
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